劇場公開日 2025年8月1日

「「この世界の片隅に」から学ぶ、“マルチ”に生きる力と経営の本質」この世界の片隅に 林文臣さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5 「この世界の片隅に」から学ぶ、“マルチ”に生きる力と経営の本質

2025年8月3日
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映画『この世界の片隅に』は、戦時中の広島・呉を舞台に、普通の女性・すずの日常と非日常が交差する様子を描いた作品です。経営者としてこの作品を観ると、「当たり前の日々」の重みと、「見えない影響力」の大切さに強く心を揺さぶられます。

すずは決して特別な能力を持っているわけではありません。しかし、彼女の素朴な感性や前向きな姿勢は、家族や周囲の人々に静かな安心と光をもたらしています。この“日常を守る力”は、私たちが事業で関わるスタッフ、顧客、そして社会への貢献にも通じると感じました。

現代のビジネスでは「マルチ」という言葉が多様な意味で使われます。マルチタスク、マルチチャネル、マルチレイヤーの組織運営…。すずのように、複数の役割を自然体でこなし、戦時下という極限状態でも人の心を守っていく姿は、マルチの本質を“利己的ではなく利他的な力”として捉え直すヒントになります。

また、限られた資源や情報の中で「創意工夫」するすずの行動は、制約の中でも成長や価値創出を諦めない経営の在り方と重なります。生きること、働くことの根本に立ち返らせてくれる本作は、単なる戦争映画ではなく、現代の私たちに必要な“視点の転換”を促す一作です。

林文臣
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