「アニメだからこそのリアル」この世界の片隅に chibirockさんの映画レビュー(感想・評価)
アニメだからこそのリアル
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戦争には多くの人が関わる。
戦争を起こす人、
戦争に出向く人、
そういう人たちを待ちながら、日々の生活を営む人。
この映画は最後の人々を描く。
前半はまるで天国のようなのどかな田舎の風景。
時代が時代だけに、顔も見たことがない相手との結婚、なんて風潮もあれど、それでも親切な義理の家族に囲まれてほんわかすごしていたすず。
しかし死の淵ギリギリまで追い詰められ、広島では家族をなくしたすずはある日ふとしたきっかけで、何も知らずにボーッとしたまま死にたかった!!と泣き叫ぶ。
人の心や行動は、つじつまが合う合わないというものではない。
だから映画やドラマは無理やりつじつまを合わせる。
しかしこの映画ではつじつまを合わせないまま、人が生きるままにする。
この人の自然な行動を、演じられる俳優がいるだろうか。
このリアリティを再現できたのはアニメだからだろうと思うし、逆にこれをアニメでやろうと考えた製作者は何を思ってアニメでいこうと思ったのだろう。
反戦をあからさまに叫んでいるわけではないが、これを観て、まー仕方なくなったら戦争
もアリだねなんて絶対に言えない。こんな状況で、呉の彼らみたいに強く、笑って過ごせる自信なぞない。地獄の底で。
ただただ、恵まれた自分の境遇に感謝するのみ。
ああ、本当によかったこの時代の日本に生まれて。
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