劇場公開日 2016年11月12日

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「観たのは3ヶ月前ですが」この世界の片隅に KUさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0観たのは3ヶ月前ですが

2017年3月3日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

様々な偶然の組合せに人生を左右されながらも世界の片隅に場所を見つけ、そこで必死に今を生きるたんぽぽのような主人公、すずさんとその右手(意味深)の物語。戦争はそれを鮮明にする一つの設定であって、メインに描かれるのは日常の生活や人間模様。反戦がメインテーマとなるような従来の戦争映画やりも、さらに包括的な視点に立った作品のように感じた。
原作漫画ではすずさんの「選んだ道、選ばんかった道」の対比が、テツやリンに関する描写からはっきり浮かび上がっている。映画はそれに添いつつ尺の問題でそれらが一部カットされているため、ただボーっと見ているといまいちピンとこない箇所も多いと思う。仕組みの単純で感動ポイントのはっきりした万人向け映画とは言い難いが、それでも多くの人に観てもらいたい。

内容や構成だけでなく、映像や音楽、声優陣について。パステルタッチの絵が優しい歌声や音色、効果音と呼応して、不思議にどこか懐かしくそしてリアルな雰囲気を作り上げていたし、のん筆頭に声優陣の声もそこにうまくハマっていた(その点、テツの幼少期の声は残念だったが笑)。この雰囲気があるからこそ、それを一瞬で破壊する爆撃のシーンの恐怖がよりリアルに伝わったと思う。

正直ここまで映画で心動かされた事は少ない。素晴らしい映画でした。

く