劇場公開日 2016年11月12日

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「斬新な切り口だが職人業を感じる」この世界の片隅に サブレさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0斬新な切り口だが職人業を感じる

2017年1月23日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

怖い

いわゆる「戦争もの」のカテゴリには、一応、入ると思うが、とことん日常を描写することに腐心した傑作。その当時の文化をきちんと内包しており、かなりのリアリティを感じさせる。徐々に徐々に戦争の余波が日常にすうっと入り込んでいくさまには恐怖を覚える。それともあれこそが日常を生きる人々の戦争なのか。

しかしこれを単なる戦争ものとして評価するのはいささかもったいない。その当時の文化、人と人とのつながりや生活風景、家の在りかたなど様々なことを吸収できる映画でもあるからだ。フォレストガンプみたいな。
その一方で、かなり鑑賞する側に頼った作りになっているように感じられる。モノローグはモノローグパートのみで行い、作中で誰がどう思っているかは必ず人と人とのやりとりで描写する。すると、昨今の説明過剰な邦画とは異なり、観ながら登場人物の心情、言動を読み取らなければならない。解説、というかオチ、が一瞬だけ挟まれているだけ、というのも多々あり、ほわっとした作画から娯楽映画として勘違いされないか心配だ。単なる娯楽映画としも面白いのだが、ちと長く、飽きてしまう。

そういう職人業は別にして、全体はテンポよく進み、中学卒業程度の日本史の知識さえあれば楽しめる。上で書いたように小さな事件程度はさっと流してしまうので、ちょっとせわしないかもしれないが、重要な事件はかなり丁寧に描いているので、楽しめる。
しかし、小さな子供にはお勧めできない。PG12がついていないのが不思議なくらいだ。全体的にはほわっとしてはいるが、最後の最後にトラウマ必至の映像があるし。

サブレ