「能年玲奈の存在をいい意味で忘れる」この世界の片隅に 千鶴さんの映画レビュー(感想・評価)
能年玲奈の存在をいい意味で忘れる
ふだん基本的にはアニメは見ないし、日本のアニメ映画にものすごい偏見のあった私だが、いろいろきれいに取っ払われた。
まず話題だった能年玲奈の存在を、上映開始後かなり早い段階で忘れた。そのくらいすずは自然だった。
日常と地続きで非日常があり、非日常のなかにも日常がある。究極的には、8月6日も、7日も8日も、任意のn月n日もすべて等価である、と思わせてくれる。
大変なことが起こった、一大事だ、と思ったときに実は何も起きなくて安心し、本当に一大事になってしまったときには次の瞬間にまた日常が待っている。
この普遍性がいつでもどこでも変わらないだけに、戦争という体験が鮮烈に体の中に入ってくる。広島でも、今ならシリアやアフガニスタンのようなところでも、こんな日常があるのだろうと思い、一部でホッとし、また衝撃的にも感じる。
色の使い方が、こうの史代の方法を守りつつも、鮮やかで柔らかく、非常に美しかった。
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