劇場公開日 2016年11月12日

  • 予告編を見る

「点数?んなもん満点に決まってるだろ」この世界の片隅に uttiee56さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0点数?んなもん満点に決まってるだろ

2016年11月27日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

幸せ

公開初日に超満員のテアトル新宿で初回の鑑賞。舞台挨拶回でもないのに上映終了時に拍手が沸き起こり、パンフレットを買うために長蛇の列に並ぶ、前代未聞の事態に立ち会うこととなった。
翌週、平日昼間にもかかわらず7割くらい埋まっていた立川シネマシティにて2回目の鑑賞。さらに公開3週目に半分くらい埋まっていたイオンシネマ浦和美園にて3回目の鑑賞をした。しかし、この映画のもたらす強烈な体験を未だに文章化することができない。
なので、他の人が素晴らしいレビューをいくつも書いていることですし、もうレビューを書くのは諦めました(笑)
大笑いして、大泣きして、最後は希望に満ちた結末を迎えられます。

(おまけ:この映画は何であるか?)
・すずさんの可愛らしさと天然ぶりを愛でるホームコメディです。核家族化が進んだ現代から見ると、大家族にはいろいろ思うところがあるかと思います。
・遠い歴史上の出来事を描いた映画ではなく、私達のおばあちゃん、ひいおばあちゃんの青春時代の出来事を描いた映画です。コンビニやスマートフォンはなくても、クリスマスを祝ったり、喫茶店でパフェを食べたり、現代と何も違わない生活をしていたことに驚きます。その一方で、顔も見たことがない相手に嫁ぐなど、現代と違う価値観に驚く人もいると思いますが、私の母親の時代まで当たり前のことでした。
・泣ける映画です。個人的には本編開始後30秒で泣くという新記録を打ち立てました。しかし映画は泣かせようとしているわけではありません。ただ街の風景を映しているだけなのです。
・しかし泣く場面よりも笑う場面の方がはるかに多い映画です。従来の戦争映画ならば陰鬱になるであろう場面が、本作では最大の笑いどころになっています。
・戦争映画か?というと、戦争映画の定義によります。戦闘を描いている映画ではありません。戦争という名目で行われたテロに巻き込まれた一般市民を描いた映画です。
・反戦映画か?というと、反戦映画の定義によります。戦争に反対する映画かと言えば、間違いなく反戦映画です。日本は悪い戦争をしたから二度と戦争をしてはならないという戦後に生まれた価値観(東京裁判史観)に基づく映画かと言えば、反戦映画ではありません。あくまでも戦時中の庶民の価値観に忠実に描写しています。
・反核映画か?というと、見る人の受け取り方によると思います。広島ではなくて呉が舞台なのであの日の描写はあっさりしていますが、それだからこそ見る者の胸にはぐっさりと突き刺してきます。
・外国で受け入れられる映画か?というと、そんなもんは海外興行してみないとわかりません。なので、しっかり海外興行して三大映画祭やアカデミー賞に出品してほしいと思い、クラウドファンディングにも参加させて頂きました。なお、東京国際映画祭では、外国人の観客にも絶賛されていたそうです。
・「君の名は。」より良い映画か?というと、そんな比較には意味がありません。「君の名は。」は恋人が欲しくなる映画、「この世界の片隅で」は嫁さんが欲しくなる映画です。

(おまけ2)
チェーンマスターのテアトル新宿や、いち早く作品への支持を表明した立川シネマシティだけでなく、特に何かあるわけでもないイオンシネマ浦和美園でも「支配人の一押し映画」として、この映画に関する様々な展示をしていました。映画館の努力なのか配給会社の努力なのかはわかりませんが、作品に対する関係者の愛情を感じることができました。

uttiee56