劇場公開日 2016年11月12日

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「アニメ作品の極致」この世界の片隅に nhidenobuさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0アニメ作品の極致

2016年11月20日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

幸せ

これまでに観たどのアニメ映画も到底足もとにも及ばぬ頭抜けた名作。
数倍の料金を払っても観る価値あり。
そして何が秀逸なのかを一言では説明できないのが、本映画の傑作たる所以。 笑い、悲しみ、憎しみ、そして優しさ、救いが見事に紡がれており、とにかくまあ観て下さいとしか言いようがなく。
そして何よりも、のん(能年玲奈)が完全復活し、その個性がアニメに見事に化体。
あの小津安二郎の東京物語にも似て、淡々としていて派手な抑揚もなく、説明的にもならず気をてらうこともなく、しかし特徴的なテンポある展開と上質なユーモアによってどんどん引き込まれ、そして最後に何かがものすごく突き上げてくる不思議な感覚。
何も知らぬ無辜の市民がのみ込まれて行く非日常の中にごく普通の日常を描くことで非日常性がより浮き彫りになり、非イデオロギーの作風によって逆に我知らずイデオロギーが滲み出て来る。
実写含め、ここ数年で観た映画の中でも最高位か。

nhidenobu