「●圧倒的な日常のリアルさ。」この世界の片隅に うり坊033さんの映画レビュー(感想・評価)
●圧倒的な日常のリアルさ。
いやあ、ちょっとびっくりした。この世界観に。なんだろ。ホントにうまいラーメン食った感じといったら品がないか。しみじみニヤニヤしてもうた。目が小鳥の足跡になる「あちゃー」顔がたまらん。
癒されてるうちに、この独特の世界観に引き込まれていく。
とても自然に。やさしい気持ちのまま。
そうして涙が止まらなくなる。全身からこみ上げる。じんわりと。
多くの日本人にとって、戦時中でもあたりまえに日常があった。主語が日常で、副詞が戦争というか。四季を愛で、暮らしを工夫し、家族とささやかな幸せがあり。このなんでもない日常が、圧倒的に普通に描かれている。
これがホントにスゴイと思う。
だから、戦争が刺さる。懸命に明るく生きている日常で起こる現実として。砲弾の破片がヒュンヒュンと、ラストの名もない子のお母さんのまわりをブンブンと。
時限爆弾の描写も、心の深層風景としてストンと入ってくる。
「はだしのゲン」「かぐや姫の物語」にないやさしいタッチ。
「君の名は。」「バケモノの子」とは異なるリアルの表現。
「何かが足らんくらいでこの世界に居場所はそうそう無うなりゃせんよ。すずさん」
「ずーっとこの世界でお前は普通でおってくれ」
ふたりのセリフがとてもいい。間違いなく後世に残したい1本だ。
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