「ミラジョボ・ネバー・ダイ&ブロスナン・イズ・ノット・イナフ」サバイバー 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)
ミラジョボ・ネバー・ダイ&ブロスナン・イズ・ノット・イナフ
外交官である主人公ケイトは、とある入国者がテロに関わっているのではと睨み、独自に調査を始める。
だがその情報を掴んだテロ一味はケイトを危険視し、凄腕の暗殺者を雇って彼女の抹殺を画策。
果たしてケイトは、テロを未然に防ぐことが出来るのか?
というあらすじのサスペンスアクション作。
タイトルはパッとしないが(しかもこれ、原題通りなのよね)、
予告編を観た時に「意外と面白そう」と感じたのと、なにより
ミラジョボ姐さんVS5代目007という顔合わせにワクワクしたので鑑賞。
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若干だけどジェイソン・ボーンシリーズを彷彿とさせるような、
タイトな作りのサスペンスアクションだった。
暗殺者に狙われ、更にはなりゆきで警察にも追われる羽目になる主人公。
ゾンビ相手に大暴れしてる印象の強いミラジョボ姐さんも、今回の肩書きは外交官。
一般ピーポーな彼女がどうやって警察や一級の暗殺者から逃げ切るのか?
……まあ詳しくは映画で。
まさか!と驚くかいつもと大して変わらんやんと思うかはさておき、
映画の見所は彼女の機敏でスマートな立ち回りだ。
まあ、ああなる展開なら彼女の背景ももうチョイ説明してくれなきゃ消化不良だが。
で、彼女を追うのが、ブロスナン扮する凄腕の殺し屋 “時計屋(ウォッチメーカー)”。
未だに007のジェントルなイメージが強いが、今回は生粋のド悪党でしてよ。
序盤のテロのシーン、多数の市民を巻き込むと分かっていながら、
ためらう様子ひとつ見せずにテロを実行する姿は恐ろしいし、
自分の経歴を軽々しく口にするヤツは協力者であろうとアッサリ抹殺。
“時計屋”の異名通り、ガジェットをこつこつ自作する姿も良い。
ブロスナンの存在感も合わさってなかなかに凶悪・強力な殺し屋だった。
……のだけど。
この殺し屋さん、ずいぶんとツメが甘い。
凄腕の殺し屋と呼ばれてるくせに君は何発弾を外すのかね。
邪魔が入ったら割とすぐ追跡も諦めちゃうし……。
かの有名なデューク東郷氏は言いました。「証人は消せ……殺人者の鉄則だ……」。
こっちは証人逃がすわ死体も残すわ狙撃する的(まと)もそこそこデカいわ、
あと、スマホに怒る前に、追跡をスマホなんかに頼り過ぎちゃダメダメよ。
色々と消化不良のまま終わるキャラが多いのも難。
テロ一味の頭(かしら)の存在感が空気並みである点やら、
ある想いを抱えてテロに協力したハズの人物(複数いる)が
ものすごく簡単に処理されて終わる点やら。
特に後者はもっと時間を割いて描いて良かったと思うんだけど。
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話のスケールは予想以上に大きかったし、スマートなシーンもちらほらあるし、
ミラジョボやブロスナンの魅力もあって最後まで飽きずに観られたけど、
最後の決着も含めてなんだか締まらないアクションが多く、上述通り半端なキャラも多い。
けれどまあ、
最初からB級映画を観る気構えで観ていた身としては、
「あ、思ったよりも気合が入ってて楽しめたなあ」という印象。
9.11以降、テロを水際で防ぎ続ける外交官の活動が垣間見られる点も興味深い。
つうわけで、まあまあの3.0判定で。
<2015.10.17鑑賞>
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余談:
ジェームズ・マクティーグという監督の名をどっかで聞いたようなと思って鑑賞後に調べたら、
『V・フォー・ヴィンデッタ』『推理作家ポー 最期の5日間』の監督さん。
今回も、面白くなりそうな題材なのにあと一歩爆発させ切れない感じさね……。