「●やるせなさの向こう側。」オーバー・フェンス うり坊033さんの映画レビュー(感想・評価)
●やるせなさの向こう側。
佐藤泰志の作品は、なんだかやるせなくなる。けど、引き込まれるのだ。その独特な世界に。静かに、ひとり葛藤しているというか、いつまでも小さな傷が治らないというか。そんな小さな傷を持った者たちが出会い、交錯する。
ぶっ壊れてる女。ぶっ壊す男。森くんの不器用さ。
ハクトウワシの求愛ダンス。キレイだ。危ういとわかっていながら、好奇心が勝って、オレなら聡にのめり込んでしまうかもしれない。何も考えず、ただ生きているだけにならないように。
白岩の感情が溢れ出す「怒り」と「悲しみ」のシーンが好きだ。そして自転車二人乗りのシーンも。「悲しみ」を乗り越えた白岩が、吹っ切れたようにバットを振り抜くラストに救われる。結局、人はどこかで折り合いをつけていまの環境を生きていくしかない。その積み重ねの先に未来がある。まさに、オーバーフェンス。
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