「微温的な絶望感」オーバー・フェンス ぱんちょさんの映画レビュー(感想・評価)
微温的な絶望感
同じ佐藤泰志原作ながら『そこのみにて光輝く』のようなどうしようもないどん底ではなく、より微温的な「とりかえしのつかなさ」がだんだんと死にゆくような地方都市の現実をよりリアルに映している。
平凡な生活を続けているある日ふと失われたもの失われつつあるものに気付きそのとりかえしのつかなさに呆然と涙する。観光フェリーから降りたあとの主人公のように。
しかし、ヒロインの行動の理由や彼女の内面に至れぬままに進むためにどうしても感情移入できないまま物語は終わるので、観客はフェンスの向こうに飛んでいくボールのようにはスッキリすることはできない…
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