みちていくのレビュー・感想・評価
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cry for the moon.満月or新月?
『宇宙を認識しているのは私達だから、宇宙から見たら、私達の悩みはちっぽけ。それって、よくわからないんだけど。やっぱり、私達が宇宙だよね』
『田所、前向け』『先生!前ってどっちですか?』
『新田さんどっちが前?私はこっちだと思う。だから、こっちは右よ』
田中朝子ちゃんのピースマークがキラキラ。『私、学校嫌いだけど、大好き。私の事と今日の事書いてよ。』
『先生は辛くなる事ありますか?大人になっても辛くなる事ありますか?』
『あるわよ。でも、大丈夫よ』と言う女性の保険授業の先生。
そして、
『新月の時にお願いすると叶うよ』と言う“みちる”の姉。
その姉が妹の先生へ『先生、今日満月ダヨ。満月は気持ちが落ち着かない。いっぱい、いっぱいになっている。でも、その内に”みちる“も落ち着くよ』って。姉と妹同じ担任。
『痣、見せて』『でも、消えちゃった。だから、噛んで、でないと、私も一緒に消えちゃう』舞はみちるを噛む。痣を見て舞はみちるに言葉を返す『この痣だってすぐに消えちゃうよ。でも、みちるは消えないでね』
女流監督が俯瞰した女子高生の心と体のバランスの危うさ・・・・・・・
今から6年前の作品ではあるが、今どきの女子高生像が女流監督の俯瞰した目線で淡々と描かれている。
男性では描ききれない心と体のバランスの危うさを、噛むという自傷行為に照らし、少女たちの存在意義を二人の女子高生が微妙な距離感を保ちながら進むストーリー。そこには今風なドラマチックな演出は一切排除され、だからこそのリアル感が感じられる。
残念ながら自分は男性なので、お互いの空虚を埋める演出がイマイチピーンと来なかったが、女性にとってはあるある的な感覚を随所に感じる事が出来るのであろう!
作品のテーマになっている、”新月の日にお願いごとすると満月の日に叶うんだよ”、二人は新月に何を願うのだろうか!?
89分が長く感じる
女子高生が色々考えてることが、丁寧にじっくり描かれてんじゃないかな。動きが少ないから長く感じんだけど、そこが逆にいいのかも。
舞台が夏だからみんな薄着なんだけど、そこから生命力が溢れてる感じで「これから旬を迎えんだなあ」って気がした。
冒頭は進路調査票の提出から始まんだけど、ここは《桐島、部活やめるってよ》を思い出したね。高校生が自分を見つめる話は、何やられても《桐島》思い出しそうだけど。
主人公の二人は陸上部のエースと部長なんだけど、この関係は良く解ったなあ。エースと部長は違うんだよね。団体競技なら良かったんだろうけど、個人競技だから、なかなかうまくいかないね。
だから余計に部長の「願いを叶えに来ました」からちょっと感動した。
何者かに成りたくて成れなかったり、望んだものになったのに満たされなかったり、女の子だからいずれ姓が変わることを考えてみたり、大人と自分達は何が違うのか思ってみたり、色んなことが描かれてた。
ぼーっと観ててもまあ楽しいし、暗喩を読み解いてもいいと思うし、好きに観たらいいんじゃないかな。
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