「普遍的な若者の夢への挑戦に聾唖者の家族愛を絡めたストーリー・脚本が素晴らしく、ハリウッドでのリメイクも納得」エール! Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)
普遍的な若者の夢への挑戦に聾唖者の家族愛を絡めたストーリー・脚本が素晴らしく、ハリウッドでのリメイクも納得
エリック・ラルティゴ監督による2014年製作のフランス映画。
原題:La famille Belier、配給:クロックワークス、アルバトロス・フィルム
普遍的な若者の夢への挑戦に聾唖者の家族愛を絡めたビクトリア・べドスのストーリー・脚本が何よりも素晴らしい。主人公のルアンヌ・エメロが手話の通訳を心ここに在らずではしょったり、危ない言葉を誤魔化したりするのが何とも微笑ましい。そして、パリの音楽学校入学のための歌唱試験で、ルアンヌが見守る両親に向けて手話をまじえながら歌い上げるのが、凄く感動的であった。
基本的にシャンソン風のメロディーはあまり好みではないが、ルアンヌ・エメラの歌唱力は素晴らしかった。彼女が颯爽と走る自転車の映像も素敵だ。そして、学校の発表会で、ルアンヌの家族の認識状況再現のため音が消え観客の表情の身がわかる演出が、実に上手いと唸らされた。
歌の指導教師演じたエリック・エルモスニーノ(ミュージシャンでもあるらしい)のオタクがかってる熱血指導も印象的。そして音楽学校の試験で、伴奏無しでの危機に、何とかエリックが間に合いピアノ伴奏出来、更に出だしの声出し失敗でわざと演奏をミスり、やり直しする展開もよく出来た脚本と感心させられた。
女友達への弟によるかなりエロい手話指導と、言わば落ちとなるゴムアレルギーによるアナフィラキシー騒ぎは、フランス風下ネタなのかな。
最後、家族の抱擁を終えて未来に向けて走るルアンヌの姿、そのストップモーションで終わるラストは鮮やか。更にエンドロールで、主役2人を始め複数のロマンス成就を見せるのもとても暖かくて気に入った。ハリウッドでのリメイクもうなづける、感動させられるステキな映画であった。
製作エリック・ジュエルマン 、フィリップ・ルスレ、ステファニー・バーマン
原作ビクトリア・ベドス、脚本ビクトリア・ベドス、 スタニス、ラス・カレ・ド・マルベル、グ エリック・ラルティゴ。撮影ロマン・バンダン、美術オリビエ・ラド、編集ジェニファー・オージェ。音楽エフゲニー・ガルペリン、 サーシャ・ガルペリン。
出演は、ルアンヌ・エメラ(ポーラ・ベリエ)、カリン・ビアール(ジジ・ベリエ)、
フランソワ・ダミアン(ロドルフ・ベリエ)、エリック・エルモスニーノ(ファビアン・トマソン)、ロクサーヌ・デュラン(マチルダ)、イリアン・ベルガラ(ガルリエル・シュヴィニヨン)、ルカ・ジェルベール(カンタン・ベリエ)。