劇場公開日 2015年10月31日

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「普通のホームドラマ仕立てだが、そこが魅力の仏映画!泣けます!」エール! Ryuu topiann(リュウとぴあん)さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5普通のホームドラマ仕立てだが、そこが魅力の仏映画!泣けます!

2016年2月5日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

幸せ

両親、そして弟は耳が聞こえない。しかし一家の中で、唯一健常者の長女ポーラが、ある日歌手になる夢を持ってしまった事から大騒動が始まると言う物語。
コメディー?ヒューマンドラマ?何と呼ぶのが一番本作に馴染むだろうか?

本作は、そうでなくても複雑に心が揺れ動く思春期のヒロインの心情を描いた作品なのに!更に、とても個性的な環境に生まれたヒロイン、ポーラの日常を丁寧に、且つ、明るく描き出している処が、一番観客が好感を持ち、フランスでヒットした所以だろうと思う。
やはり、青春サクセスストーリーと表現するのが、一番理解し易い作品かも知れない。
しかし、本作は絶対日本人のみんなの心も掴むだろうと私は映画鑑賞後確信を持った。

ここ最近、障害者と彼らを取り巻く人々との友情、愛 絆、或いは葛藤を描いた作品が多く、正直失礼な表現だが食傷気味で、私はこの作品も始めはそんな映画の中の一つと考えていた。
だが、この作品はごく普通に夢に向かって努力する少女の、不安に揺れながらも、夢を諦めないヒロインの心の成長物語。つまり普通の青春サクセスストーリーで自然な作品なのだった。

人が人生である日夢を持ち、その夢に向かい努力を重ねる過程に於いては、不安や家族の反対、そして本人の葛藤が有るのは当然の事。しかしその夢を諦めずに、生きる賢明なヒロインにこそ、人は感情移入し、喝采を送るのも自然な反応なのだ。

この作品ではその個性的な環境で育ったヒロインを、普通の夢みる女子と言う形で描いている点が、嫌味が無くて文句なく感情移入出来る作品に仕上がっていると言う印象を持たせる、とても好感が持てる作品であった。

ファーストシーン、家族の1日が始まる朝食時間。とても音が効果的に使われています。
そしてタイトルバックもこの作品らしい作りになっていた。

この作品は歌を沢山使い、音の有る生活と音の無い生活の違いとはどう言うものなのか?
或いは、音の有無に関係なく、人が日常を生きるプロセス淡々とコミカルに描き出している点が素晴らしい!
そして、徐々に物語はクライマックスを迎える。
この作品のラストも、間違いなく、心に残る名シーンとして、みんなの愛する作品の1本となるだろう。

御一人でも、恋人と或いは家族と観ても感動出来る作品です。
でも映画館では、ハンカチをお忘れなくご持参下さいませ!

そして最後にフランスでは食料自給率も高く、農家もとても多いので、パリばかりでない、フランスの片田舎で暮らす人々の暮らしぶりを美しい自然と共に観る事が出来るのも、また本作の違った楽しみ方かも知れない。

ryuu topiann