「「コワすぎ!」ならではのイビツだけど真摯な恋愛もの」戦慄怪奇ファイル 超コワすぎ! FILE-02 暗黒奇譚!蛇女の怪 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
「コワすぎ!」ならではのイビツだけど真摯な恋愛もの
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一見してキモいコミュ障のオッサンが、ワケあり美人に恋をした! 普通ならキモいで片付けられそうな想いを全力で応援するのがいかにも「コワすぎ!」らしい。対する相手は理屈はよくわからないが蛇女の一族で、宇宙からやってきた人外の生きものらしい。
細かいところはわからないが、とにかく理屈ではありえない相手に恋をして、その想いを貫こうとして、おっそろしい代償を求められ、まさかのハシゴ外しのギャグが挟み込まれるまでが「コワすぎ!」流の恋愛描写で、とにかく「正しい」なんて概念が一切通用せず、まるで「恋愛とは当事者間でだけ通用する狂気である!」と宣言しているかのようで、恋愛ものとして圧倒的な説得力がある。
そもそも、世間から目を向けられないもの、目を背けられるものへの共感に似た視点は白石監督作の多くから感じられ、それが最もロマンチックな形で現れているのがこの作品のように感じられるのだ。
ちなみに蛇女役の桑名里瑛は「コワすぎ!」FILE-4のトイレの花子さんと、最新作の『戦慄怪奇ワールド コワすぎ!』にも出演していて、白石監督によると、どこかで繋がっている役柄だという。それを踏まえてその三作を観ると、ひとつの魂の転生として解釈できる気がするので、三本立てにしてみるのも楽しいんじゃないだろうか。
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