劇場公開日 2016年6月25日

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「人は秘密があるから、生きていけるのかも。」二重生活 Cディレクターシネオの最新映画レビューさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0人は秘密があるから、生きていけるのかも。

2016年7月5日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

興奮

知的

修士論文を書けない院生の女子が、

教授の勧めで尾行にのめり込み、

そこからいろんなことが

見えてくるというお話。

半信半疑

おどおどして尾行していた女の子が、

様々なもの掴んでいく様がいい。

人間の存在意義みたいな

哲学的なお話がテーマだけど、

ハプニングも織り交ぜながら、

尾行という非日常のスリルが

全編を引っ張ります。

しっかりエンタメをキープしているから、

夢中になれます。

なかなか惹きつけられました。

主人公タマは

受け身で生きてきた女の子。

そんな彼女が

覗いた他人の生きざまから

自分にツジツマを合わせていく

その繊細な変化が生々しい。

タマを演じるのはの門脇麦さん。

彼女は「愛の渦」から注目してますが、

繊細さも大胆さも持ち合わせている、

異端実力派の若手女優ですね。

今回も無意識下からの、

心の動きが上手かったですよ。

長谷川博己さん、

リリーフランキーさん、

菅田将暉さん

異なった年齢の3人の男。

彼らも様々な秘密が色気を放ってて、

素晴らしかったのだけど、

その差異をひきだたせていたのも、

門脇麦さんの演技力でした。

この監督は映画デビューのようですが、

臨場感や俯瞰を使い分けたカメラワーク、

映像トーン、音楽と、

計算された表現手法に手腕を感じました。

この世の中に生きていて、

人は満たされるわけない。

毎日が苦しい。

そんな状況から逃れるために、

人は秘密をもつのかな。

それを想う自分だって、

実は秘密がたくさんあるから(笑)

生きていけてるかもしれない。

映画から感じることが、リアルでしたね。

どんな人にも秘密があって、闇があって、

それが魅力になるかもしれない。

そんなホントのことが、

やけにせつないなぁ。

精神的にきちんとオトナの人には、

よけいに響いてくる作品なのかも

しれませんよ。

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