ブリッジ・オブ・スパイのレビュー・感想・評価
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反戦の祈り
スピルバーグと言えば、自分の中では反戦の象徴みたいになっていて、日本で言えば大林宣彦。なんか風貌も似てるし。今回は脚本がコーエン兄弟、主演トムハンクスという、スピルバーグのやりたい事濃厚な感じです。
普段からスパイ映画を観てると、そんなに捕まらないし捕まってもすぐ逃げられるイメージがあるが、この話の中の、ソビエトのスパイは淡々としていて素早いとか屈強な印象はゼロ。アメリカのスパイは空軍の1人で体力自慢でも頭脳は低そう。どちらも自力では逃げ出すことなんて出来そうにない。
そーなると捕まえたスパイはどーするのか。そこを提唱していくドノバン弁護士。保険の事案を扱っていた強みを見せて難題を切り開く。
東ベルリンに行ってからの風景や街の人々、泊まる宿とか、嘗てのの東欧世界のダークな感じの再現度がいい感じです。大体薄暗いから少し見辛いですが。
スピルバーグ映画は、ホントに子どもに教えてあげたくなる程、歴史的意義や英雄譚など、いい話が多いですね。
雰囲気と丁寧な描写
冷戦当時の空気感を味わうには最適な作品
敵国兵士の弁護人が非国民扱いされながらも
人質交換の可能性を示して裁判にて死刑を回避
実際に人質交換をする事になり非公式に交渉することになる
交渉が中心となると退屈な風景が連続することも少ない無いが
美術が素晴らしいこともあって退屈しない
脚本が丁寧かつ軽妙で安心して見ていられる。
オチが秀逸で素晴らしい余韻が残る。
メタファーのお手本のような映画
スピルバーグは伝えたいテーマを置き換えや画で見せるのが本当にうまい。「スパイの橋」はクライマックスのシーンであり主人公のメタファーでもあってそれをタイトルにしてしまううまさ。脚本誰だと思ったらコーエン兄弟絡んでた。そりゃー、頭いいよね。
☆☆☆☆★ シドニー・ルメットは『十二人の怒れる男』の中で、観客に...
☆☆☆☆★
シドニー・ルメットは『十二人の怒れる男』の中で、観客に悟られ無い様に眼鏡を掛けた男が眼鏡を外し、眼鏡によって出来る鼻の痛みを和らげる姿を何回も映す。
その眼鏡あるあるがある種の決めてとなり、他の陪審員達の心にも一体感が出るのだった。
この『ブリッジ…』の中では、ソ連側のスパイであるアべルが幾度となく鼻を啜る。スパイだけに観客にとっては、どんな意味があるのか?を一瞬考えてしまうのだが、この行為自体には特別な意味は実は無い。
アベルとドノヴアン。2人の立場は違えども、お互いがお互いの不屈な精神に対して、次第に共感しあう様になって行く。
例えお互いに"国を背負っている意識"からか、その本心は明らかにしなくても…。
映画の舞台がベルリンに移る中盤から、アベルの出番は無くなって行くのだが。ベルリンに着いたドノヴアンは、いきなり若者達に暖かいコートを奪われてしまい、ドノヴアンは「風邪をひいた。早く帰りたい。寝たいんだ!」と語りながら鼻を幾度か啜る。例えその場にアベルは居なくても、ドノヴアンが鼻を啜る度に、その場にはアベルが存在している様に見えるのだ。
そして映画は終盤に差し掛かり、アベルとドノヴアンは最後の最後に本心で語り合う。
この別れの場面は勿論素晴らしいし。全編を通してスピルバーグは、我々アメリカは昔も今も偏見や差別は失くなっていないのではないか?。本当に【チェンジ】は進んでいるのか?と、現代のアメリカ社会に対して警告を鳴らしている様にも思われる。
でも私がこの作品で1番感動したのは。直前まで愚痴をこぼしていた妻だったのだが。真実を知った瞬間に、「貴方お疲れ様でした。ゆっくり休んでくださいね。」…と言っているかの様に、夫を優しく見つめる姿に他ならない。
スピルバーグの映画作家としての成熟度を如実に示す作品だと思います。
2回目の鑑賞。
間もなく上映終了なので、都内で1番大きなスクリーンで観ておきたかった。
裁判後、アベルのタバコにドノヴアンは火を着ける。するとアベルは《不屈の男》の話をする。アベルはドノヴアンを間違いなく信頼した証であろう。
やがて収監されたアベルを、ドノヴアンはラジオを持って訪ねる。
そのラジオからはショスターコビッチの交響曲が聞こえている。
ショスターコビッチは、圧政に耐えながら芸術活動を続けた男だ。
自身が作曲した交響曲の中に、さりげなく「僕はここにいる!僕はここにいる!」とサインを入れては圧政に苦しむ苦悩を叫び続けた。
アベルも芸術家と偽りながらスパイ活動を続けていた。
それだけに、その苦悩が痛い程に解る。
そしてドノヴアンも、これから政府関係者では無く、一人のアメリカ市民として人質交換の交渉を余儀なくされる。
当時の冷戦状態を考えれば、果たして生きて帰ってこられるのか?不安感で胸が詰まる思いだったであろう。
だからこそ、クライマックスの橋の上で二人は再会した時にアベルは開口一番こう伝える。
「親愛なるジム」…と。
(2016年1月16 TOHOシネマズ日本橋/スクリーン5)
(2016年2月3日 TOHOシネマズ/スカラ座)
アメリカの正義万歳映画
しかし、トム・ハンクスは何を演じても上手い。第二次大戦後の米ソ冷戦時代にあった実話らしい。ちょうどベルリンの壁が築かれる時の様子も描かれており、歴史を学ぶことも出来る。アメリカ映画にありがちなことだが、アメリカって常に正義なんですよねー。ちょっとそれが鼻につく映画だった。
ごちゃごちゃしそうな話なのに、筋はよくわかった。 実話だけに、すご...
ごちゃごちゃしそうな話なのに、筋はよくわかった。
実話だけに、すごく感動とか、学生いらないのでは、と思うこともあったが、丁寧に描いていた。
スパイを殺すことなく、将来的にスパイ同士を交換することまでの先見の目があった。
しかも、全く関係なくつかまった学生のことまで救おうとする交渉術。すごい。
ただ、学生がどのようにして助け出されたのかはよく分からなかった。そこまであると個人的にはいいのになぁ。
当然かもしれませんが、良作
当然といえば当然かもしれませんが、良作。でも、意外と響かなかった人も多いはず。さらっと見せているのもあるんでしょうけど、合衆国を軸にしたナショナリズムを含む内容ではあるので、日本人にはあまり共感どころがなかったりする。
人質(捕虜)交換での国籍を越えた交流を本題の中で静かに描いている点はすばらしいのではないでしょうか。
あと時代設定にあった街や雰囲気の再現性の高さは全体を通して目を見張るものがあります。
誠実さが人を動かしていく
与えられた使命・職務をまじめに遂行しようとする主人公。そんな姿・態度にCIAやスパイ容疑者も心を動かして行く。誠実に真面目に生きることが大事だと改めて実感させられるいい映画です。
スパイものって、どーしてこうカッコいいのかしら。おっさんばーっかり...
スパイものって、どーしてこうカッコいいのかしら。おっさんばーっかり出てくるけど、みんなかっこいい。
さすがコーエン兄弟の脚本が良かった。ただラストの抱擁されるか?のとこは、アレ?だったけど。そっちかい!と。
スピルバーグ&コーエン&トムハンクス
監督:スピルバーグ、脚本:コーエン兄弟、主演:トム・ハンクス。
名前だけで判断してはいけないけど、でもやっぱりこれだけ揃ってしょうもない映画になるはずがないね(^^;
なかなか見応えのある映画でした。
緊張感、雪の街の寂寥感は絶品
2016アカデミー作品賞ノミネート
無関心•••4•好 SF 俳優 並••3••凄 歴史
無1••••涙/無•••4•固ゆで
無•••4•社会派/大衆•2•••狂信
標準/紹介
俺の満足度 70点
作品賞可能性 60%
主演トムハンクス監督スピルバーグ とくれば、いい作品間違いなしと期待して鑑賞。
いい感じでした。
特に、法の上で人は平等、かつ従事している職業によらず人として真摯かどうかを見るべきという考えを貫く主人公の芯の強さ、スパイ役のマーク・ライランスとの味のある会話がよかった。
東側にいる間の何が起きるかわからない緊張感、雪の街の寂寥感は絶品。
観客が望む結果に落ちていく予定調和的なところや、父を信じるよきファミリーや、東側は狡いが弱い、冷たいという描写(交換後、ハグされず後部座席に座らせたね)など、ベースに「ビバ アメリカ」が見え隠れしているので、作品賞はないかな。
自分は予定調和は好きなので、満足でした。
他人の評価を見て引用追記。言われてみて思い出す映像の凄さ。スターウォーズのように見たことがない映像ではなく、きっとこの通りだったのだろうと違和感のない映像という凄さだな。
橋のことは知っていたけど…
この橋の噂は昔、聞いたことがあったので
スパイ交換橋って言われていることも
知ってはいたけれど背景や情勢
アベルやパイロット、学生のことなど
知らなかったから今作を観て良かったなぁと
心から思えた。弁護士って嫌な人も多いけど
正義を貫ける仕事だなぁと改めて実感。
まぁトムハンクスだから良いのかもしれない。
とにかく久しぶりに少し心の洗われる作品を
鑑賞できた気がして良かったです!
さすが夢売るスピルバーグ!裏切らないなぁ…
久々にスピルバーグらしい傑作
スピルバーグの監督作は,フィクション系と実話系に大別できる。フィクション系の代表は「インディ・ジョーンズ」や「ジュラシック・パーク」などであり,実話系の代表は「シンドラーのリスト」や「リンカーン」などである。ハリウッドの映画の鉄則は観客を飽きさせてはならないということで,2時間の上映時間の中に,大きな盛り上がりを最低2回(多くは冒頭または中盤と終結),更に 30 分に1回の中程度の盛り上がり,さらには 15 分に1回の小さな盛り上がりというのが典型的なテンプレートで,その最も代表的な作例がインディ・ジョーンズである。これでもかというサービス満点の映画で,客は大満足して映画館を後にできる。一方,実話系の作品では多少のフィクションを盛り込んでストーリーに起伏を付ける程度は許されるが,全くなかったような話を映画の都合ででっち上げることもできないので,ハリウッドのテンプレートからは外れることになる。また,実話系の作品の場合,観客が映画館から持ち帰るのは満足ではなく感動である。
今作は前作「リンカーン」から3年を経て公開された監督作であり,実話系の作品が連続したことになる。今から 60 年近く前の 1957 年に,豪腕のアメリカ人弁護士が,その手腕を買われて,アメリカで捕まったソ連人スパイの弁護と,さらにはソ連で捕虜となったアメリカ人パイロットとの捕虜の交換に尽力する姿が描かれている。アメリカの社会が昔から自国本意でありがら建前上はどれほど公正で,それに対して冷戦時代のソ連や東独がどれほど非人道的な社会であったかを見事に描き出している。ソ連との交渉の場所は東ベルリンであり,時はまさにベルリンの壁が築かれ始めた時期である。
この壁は東独の国民が西側に逃走するのを防ぐためのもので,この壁が破壊されるのは実に 32 年も後のことであり,奇しくも私は壁崩壊の翌年に,国際学会での研究発表のためにドイツを訪れたことを懐かしく思い出した。私が訪れた時には壁は歴史的資料として僅か1枚を残して徹底的に破壊され,ブランデンブルク門の下をどちらからどちらに通り抜けるのも自由であったが,つい前年までは,それを行うと直ちに射殺されてしまっていたのである。旧東独側のホテルから,道路を1本挟んだ旧西独側のオペラ劇場の予約をするのに,国際電話をかける必要があった。
まず,ニューヨークでもベルリンでも,よくぞこれほどの当時の車やファッション,風物などを集めて雰囲気ある風景を再現してくれたものだと感嘆させられた。東ベルリンのシーンで出て来たパトカーは東独の国民車と言われたトラバントであり,この車が販売され始めたのはまさにこの物語の舞台となった 1957 年であるので,ピカピカの新車である。いかに 33 年間もモデルチェンジしなかった車だったとはいえ,この車が最後に生産されたのは 1991 年であるから,最も新しいものでも 25 年も前の車である。これを新車に仕立てたスタッフの苦労は察するに余りあるものであった。私がドイツを訪れた時には,旧東独側ではまだこのトラバントが普通に沢山走っていて,一歩旧西独側に移動すると,ベンツが同じくらい走っていたのがあまりに対照的で非常に印象的であった。
この映画の物語は,交渉というものの本質が,相手の弱点を発見してそこをピンポイントで突くのが最上の策であるということを見事に示した非常に物凄い話なのであるが,それをドヤ顔で見得を切るようなところがないので,かなりあっさりした印象を受ける。それを肩すかしと感じる人もいるだろうし,ほとんど起伏なく話が進む前半部分は,退屈に感じる客もいるだろう。実はこうしたハリウッド的な手法を捨てたところに実話系のスピルバーグ作品の醍醐味があるのだが,それを楽しめるかどうかというのは,偏に見る側の資質に左右されると思われる。つまり,この映画は,見る者によってかなり評価が変わると思われるのであるが,おそらく,アカデミー賞の選考委員には受けるのではないかという気がする。
トム・ハンクスの出演する映画に外れはないというのが私の持論なのだが,本作もその例に漏れなかった。実は私は彼と同い年で,彼の方が僅か 11 日私より早く生まれているだけなので,彼の映画を見る度にその姿とその時の自分の姿を比較して面白がっている。「Cast Away」で無人島生活を送る主人公を演じるために彼が 25 キロものダイエットをしてみせてくれた時には大いに焦ったりもした。(。。)☆\(vv;; この映画では,ハンクスに劣らない存在感を見せていたのがソ連側スパイのアベルを演じたマーク・ライアンスである。「不安か?」とハンクスに聞かれて「役に立つのか?」というやり取りが繰り返されたが,ハンクスの台詞は “You don’t seem alarmed” だったり ”You’re not worried” だったりしたのに対して,ライアンスの方の返事は毎回 “Would it help?” であった。今後使わせてもらおう。(V)o¥o(V)
音楽担当は John Williams が Star Wars で忙しかったためか,「ウォーリー」や「007 スカイフォール」を手がけた Thomas Newton であった。Williams に比べて控えめな彼らしい音楽で,物語を邪魔しない非常に優れた音楽だと思ったが,あまりにも耳に残らないのが残念であった。むしろ,この映画で印象的だったのは,拘置所に入れられたアベルが聞いていたラジオから流れて来ていたショスタコーヴィチのピアノ協奏曲第2番の第2楽章であった。この曲もまた 1957 年の初演であるので,世界初演から間もない新曲だった訳だが,両端の楽章が非常に快活でエネルギッシュで,いわゆる社会的リアリズムに沿った曲風であるのに対し,この第2楽章だけは非常にロマンチックに書かれていて,少し前であれば反社会主義的として粛清対象にされかねないような音楽である。この背景には,作曲者が殺されるかもしれないと常に批判に怯えていたスターリンが4年前に亡くなり,さらに前年にはフルシチョフによってスターリン批判が行われて独裁者として糾弾され,遺骸がレーニン廟での冷凍保存を中止されて焼却され,遺灰がクレムリンの壁に塗り籠められるという結末を迎えたことから,批判に怯えずに好きな音楽を書ける喜びを謳歌しているように感じられる曲である。良くこういう選曲をするものだとそのセンスには脱帽である。
ベルリンの壁を越えようとする者がどういう結末を迎えるかを冷徹に描いた後で,アメリカの公園で塀を超えて遊ぶ子供たちを対比してみせるあたりの演出など,いかにもスピルバーグらしさが全開で,非常に見応えのある映画であった。興味深かったのは,最後のテロップで説明される後日談が驚異的だったことで,むしろそっちを映画にした方が凄かったのではと思わせられたが,敢えてこっちの題材を選ぶあたりもスピルバーグらしさなのかも知れないと思った。それにしても,この映画の主人公に交渉を依頼すれば,豚朝鮮ではなくて支那の方を動かして,拉致被害者を取り戻してくれたのではないだろうかと思えてならなかった。
(映像5+脚本4+役者5+音楽4+演出5)×4= 92 点。
一本目!
ルドルフアベルを演じるマークライランスが素晴らしかった!冒頭のあの怖さを含んだかっこよさ、、
さらに終盤の柔らかさ
あとあの橋での交換が実際に行われてたと思うとすごく不思議
従来のスパイ映画とは全然違うものだった
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