ブリッジ・オブ・スパイのレビュー・感想・評価
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【東西冷戦下、”誰にでも弁護される価値がある・・全ての人が大切”という基本的人権の保護を信じ、ソ連スパイの弁護を命懸けで引き受けた男の実話】
ー スティーブン・スピルバーグのネットワークは凄い。ー
・彼がトム・ハンクスを主演に据えた2作
「プライベート・ライアン」
「ターミナル」
はいずれも、実話もしくは実在の人物のエピソードが制作のヒントになっている。
・今作は、その流れに沿った3作目である。脚本はイーサン・コーエン。
・この時点で、期待度Maxで劇場に足を運んだ。
・1957年、ニューヨークで”ルドルフ・アベル”(マーク・ライランス:絶妙の抑制した演技)という男がソ連のスパイとしてFBIに逮捕される。
彼の国選弁護人を引き受けたのが”ジェームズ・ドノヴァン”(トム・ハンクス)。
理由は正義の原則と基本的人権の保護のため。彼の時代にソ連のスパイの弁護を引き受ける事の重大さは、誰でも分かる。
悩みながらもルドルフの弁護を引き受ける姿を見て、一気に”ジェームズ”に肩入れする。
・物語では、”ルドルフ・アベル”と”ジェームズ”の間に信頼と尊敬する念が芽生える様が描かれる。
・その数年後、今度はアメリカのパイロットがソ連の領空で撃墜・拘束される。
・CIAは二人の交換を画策し・・。
<息詰まるベルリン西部のグリーニッケ橋での人質交換のシーンは未だに忘れ難い。
実話を基にした名品である。>
<2016年1月8日 劇場にて鑑賞>
うーん、面白いけれどちょっと地味かな。アクション的ドキドキがない。...
とても良質な作品でした。
鉄板
ジェームズ・ドノヴァンの情ある交渉術
・ソ連のスパイの老人アベルを弁護することになるアメリカ人のジム・ドノヴァン(トム・ハンクス)。東ドイツで捕まった学生のプライマー、偵察機でソ連に墜落した米兵のパワーズらと2対1の捕虜交換を命じられる
・1ドルコインには毒針を仕掛けたり、小文字で暗号を隠したり便利なスパイ道具
・冒頭の鏡を見ながら自画像を描くアベルのくせ者感
・アベルの家族のあからさまな偽物感やドイツの青年に対してのジムの嫌みなどオフビートな笑いもあった
・ラストの雪降る橋の上での交換シーンの緊迫感、アベルを見送るジムの顔が印象的
信念を貫く
勇気付けられました。
さすが!
アメリカという国のありよう
そつがなく一切の無駄がない。
エモーショナル過ぎることもなく、ヒロイズムに片寄ることもない。客観的な視点にたち、主人公を英雄視することなく一人の仕事人として描いてみせた。
ソ連スパイの弁護を引き受けた、民間弁護士のドノバン。
「アメリカという国の定義」が、彼の台詞の随所に提示されている。アメリカがアメリカたる所以は、法あればこそで、法を遵守せねばそれはアメリカではない、ということを。
然るべき順序を得ず集められた証拠を元にした裁判を批判し、また、国家の命令で行われたスパイ活動は個人の罪ではないと訴え、スパイに対して死刑宣告をしないことで「アメリカのありよう」を世界に示すことを提案する。
さらりと描かれているが、劇中唸るような名台詞が散らばっている。
アメリカのありようは、【リンカーン】でも提示されていた。こちらも名言が多い。どちらもスピルバーグ監督、もしかしたら二つの作品を通して、正義とは何かをもう一度アメリカ人に再認識させたいのかもしれない。
スパイ容疑で捕まった二人の米国人の挿入話や、車窓から見たベルリンの壁とアメリカの民家のフェンスの対比など、織りまぜるのがうまい。脚本はコーエン兄弟。さすが。
程よい親しみやすさと信頼できそうな男の顔として、トム・ハンクスの存在によるところも大きい。
CIAを巻いたつもりで尾行されていたり、アベルの偽家族に振り回されたり、自分の命も危うい東ドイツで、風邪をひいたから帰りたいと愚痴をのたまったり。本人たちが至って真剣だからこそ生まれるユーモアは、彼ならではの絶妙さ。
しかし、スパイ交換という大きな交渉を、「いざとなったら国はお前を見捨てる」と宣告して民間人に行わせる国家権力の酷さよ。
互いの捕虜たちが自国に帰ったのに、「捕まったのに自殺もしない弱虫」と批判する社会の酷さよ。
四面楚歌の中、夫をしつこく問いたださなかった妻は偉い。
帰ってきて眠りこけたドノバンを、ベッドの脇から眺めていたあの距離に、夫への尊敬の念を感じた。
スパイものって、どーしてこうカッコいいのかしら。おっさんばーっかり...
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