ブリッジ・オブ・スパイのレビュー・感想・評価
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今の混沌の世界にも現れて欲しいスパイ
交渉術に長けているのは、相手に訴えることですがコレがなかなか難しい。先ず不可能だと誰もが完全に思う厄介な問題に交渉者が取り組むから。良い交渉者は何故か自分のペースで進めて行く。多分その人なりのビジョンがあるからに違いない。スパイに死刑が声高に叫ばれるアンチ共産主義のアメリカで、大衆とは何か違う素晴らしい価値観を持っていた一人のアメリカ人。今回の主人公ドノヴァンがそれである。
実話がベースの話は日本人で言うと、同じタイミングで上映されている「杉原千畝」の映画と同様である。描かれるのはとにかく様々な要素が絡み合い混沌としていた世界。でも交渉者は常識を覆し、当時の誰もが理解出来ない行動に出た。スパイ紛いの活躍した日本人外交官とスパイ顔負けの活躍したスーパーマンのような保険マンを描く違いはありますが…。
私のお勧めシーンは、誰もが感動するであろうクライマックスの橋のシーン。これはネタバレになるので、是非映画を見て欲しい!
最後まで惹きつけられる良作
さすがの重厚感あふれる作品
映画『ブリッジ・オブ・スパイ』を見てきました。スピルバーグ監督そしてトム・ハンクス主演の映画だけあって、さすがに分厚い作品に仕上がっています。
東西冷戦の最中、スパイ交換を交渉する物語なのですが、当時のアメリカ社会のの雰囲気や東独の状況などがわかってなかなか面白い映画です。
トム・ハンクスが演じるジェームズ・ドノバンは、たまたまベルリンの壁が作られるときに東独側にいた米国の学生も一緒に交換しようと最後まで粘り強く交渉します。そこに、ソ連のスパイであるアベルとドノバンとの信頼関係が描かれる。
ただ結局交換されて母国に戻ったスパイたちも、それ以降の生活は消して安穏ではなかったことを暗示させる結末になっています。ただ、いわゆる面白さと無縁です。
見応えがあった
不屈の男二人
「不安にならないかね?」
「それで得をすることがあるか」
この映画のキーワードはこれだ。『ブリッジ・オブ・スパイ』ではドノバンとアベルの二人が状況に流されない胆力のある人物として描写されていて結果的にはそれが良い方に収まる。
もちろんこれはあくまでも映画であって現実では諜報戦でのFBIとCIAの争いが根底にあるのだが、現代のアメリカがどうなっているのかを見ているならこれがただのロマンスではなく意味のある寓話として受けとめられるだろう。
それにしてもこの映画でのスピルバーグ監督はかつてのフランク・キャプラ監督作品を思い出させ、トム・ハンクスとマーク・ライランスは俳優のジェームズ・ステュアートとヘンリー・フォンダを連想させたりしてアメリカ人の良心を思い起こさせる作り方をしているのは、やっぱり計算どおりなのか?
だとしたら出来とは別にこの映画の「重さ」は深刻なのかも。
スピルバーグの安定感
始まって数分後、自分がものすごく安定感を感じていることに気付いた。安心して見ていられる感じが、他の作品とは違う。これがスピルバーグか。後半、東ドイツに舞台が移ってからはちょっと中だるみ発生、という感じだったけど。
実話をもとにした内容で、戦争が背景にある人道的なストーリーはスピルバーグが取り上げそうなジャンル。主人公の「誰にでも弁護される権利がある。この憲法を守ることが我々の務めであり、敵国に我々の姿勢を見せるべきである」という言葉が全てであり、観客への、そして今の世界へのメッセージかな。
アカデミー賞ノミネートのマーク・ライアンス演じるソビエトのスパイの一見ショボいおじさんぶりが良い。彼と主人公の間にはいつの間にか信頼関係が生まれていたが、それは双方が双方の人格を見極めたもの。橋の上のシーンは泣ける。
不屈の男、カッコよすぎる
スピルバーグが撮りトムハンクスが演じる、米ソ冷戦とスパイ、そして実話....これらのワードあれば名作の匂いはプンプンする。
アカデミーは獲れるか判らないが、傑作だった。時に期待を裏切るスピルバーグも、今回は『プライベートライアン』以来の文句のつけようが無い出来だ。
トムハンクスが演じた主人公は、古き良き時代の不屈のアメリカン。自らを自らの家族を犠牲にしても立ち向かっていく。真の正義を最後まで貫いた。
ラスト、涙が出た。テレビニュースで旦那がヒーローとなりビックリした妻が旦那のとこ行くと、心身疲労困憊の旦那がベッドに倒れ込むように寝てる。起こさないように音を立てず、落ちてた帽子を掛ける妻。いやぁ、この家族愛良いなぁって。スピルバーグは家族愛を描くのやっぱ上手いな。
ま、ソ連側のスパイとの深い友情やお互いの気遣いの時点で、涙腺ヤバかったんだけどね。
なんか、何も仕掛け無しのちゃんとした名作を久々に観たなぁ。
「不安」はなんの役にもたたない
東西冷戦とはなんだったのか
アメリカの良心
スパイはスパイの話でも、007のようなアクションありのスパイ映画ではありません。
スティーヴン・スピルバーグとトム・ハンクス。この2人がクレジットに...
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