「囲碁までもバイオレンス・アクションにしてしまう韓流リベンジ・エンターテイメント!」神の一手 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
囲碁までもバイオレンス・アクションにしてしまう韓流リベンジ・エンターテイメント!
先日見た『タチャ』は花札を題材にイカサマ師の非情な世界だったが、こちらは、
囲碁を題材にしたアクション。
…え? いや、本当。
元締めやイカサマなど無い賭け事の世界は無いのではなかろうか。
賭博場で一局打つその裏で…
この一局を監視し、プロ棋士が打ち、無線で伝え、その通り打つ。
影武者のようであるが、ヤクザに雇われ、負ければ…言うまでもない。
プロ棋士のテソク。兄に誘われ、賭け囲碁の世界へ。
ある一局で負け、リンチに遭い、兄は囲碁を食わされた挙げ句に殺されてしまう。
その罪を背負われ、刑務所へ。
絶望のドン底に居たその時、隣の独房に囲碁を打つ者が。
何度やっても勝てない。
謎の人物と局を重ね、メキメキ腕を上げていく。
体も鍛え、冴えない風貌からイケメンマッチョになっていく。
出所の日。謎の人物から盲目の囲碁の達人を知らされる。
“ジーザス”という老達人と知り合い、彼の盟友、兄の仕事仲間とチームを組み、リベンジ局の舞台が整った…!
テソクの復讐が痛快…いや、痛い!
カモのフリして復讐相手の一人に近付き、最後は賭ける金が無いからと勝ったらデコピン10発。ここで一気に逆転し、鍛え上げられた肉体と力で相手は血を出すほどのデコピン! 最後の2発は…、アウチ!
次の復讐相手とは、冷凍庫で対決。しかも、お互い上半身裸姿。早く打ち、勝たなければ凍死…!
一人一人復讐を遂げ、ボスのサルスに迫っていく…。
サルスの女といい仲に。
ジーザスら仲間たちと束の間の穏やかな時。
しかし、韓国映画あるある。突然訪れる悲劇…。
ジーザスがサルスに捕まり、命を懸けた一局。
ジーザスにとってもサルスは因縁の相手。
ジーザスは頭の中で囲碁を打つ“目隠し囲碁”という離れ技で序盤は押すも…。
かつて戦った時とは別人のような打ち方のサルス。まるで、純真な子供が打つようなしなやかな手。
そう、囲碁の稀に見る天才少年が打ち、女がサルスにそれを伝えていた。
テソクが駆け付けた時、ジーザスは…。
遂に復讐の局。
が、テソクはどっちみち追い詰められているようなもの。負ければ死、勝っても女の命は無い。
果たして、勝算は…?
『私の頭の中の消しゴム』などで知られるチョン・ウソンの漢っぷりもさることながら、この二人。
サルス役のイ・ボムスの憎々しさ。
ジーザス役のアン・ソンギの存在感。
今更ながら、囲碁はルールも打ち方も知らない。
それでもスリリングに魅せる。
決着は結局拳と拳かい!…と少々ツッコミ所もあるが、韓国映画らしいバイオレンスもたっぷり。
バイオレンス×リベンジ・アクションの韓流囲碁エンターテイメント!
テソクの隣の独房に居た謎の人物とは、釜山に居るという囲碁の伝説の達人なのか…?
そこへ向かう彼らの二局目も見たくなった。