「本作で照らされる「光と影」の見事な構成さ」ヒメアノ~ル マルホランドさんの映画レビュー(感想・評価)
本作で照らされる「光と影」の見事な構成さ
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オープニングから甘ったるい恋愛劇でラブコメを強調しておきながらしだいに森田の影がちらつくのを微妙に醸し出し、岡田とユカが一夜を共にすると同時に森田の凶暴さがこれから始まりますよという意味でのタイトルが表示されるところのこのスタートの仕方が実に見事。
そこから怒涛の殺人劇が始まる。特に良かったのが生と死の見せ方をカットバックを駆使しながらリアルタイムで見せるところだ。
岡田がユカをバックでつく度、森田も鉄棒で女を付く。1回ずつ交互に見せることで森田にとって殺人行為が性的な快感を得るのだという内面的な描写をそれを「絵」でちゃんと見せるのが面白かった。
また登場人物のどこかかわいた演技が映画の世界を覆いどこか鬱屈したところを抱えていると見せかけて終盤はちゃんと感情を見せていくところも見ているこちらとして熱が上がってくる。
岡田の先輩も最初は情けなく見ているこちらとしてはイライラするが自身が最後まで岡田やユカを守りたい一心があったのだと分かるし、ユカを助けるために必死で森田と戦う所もよかった。
森田も非道な所はあるけれどそれは「いじめ」という過去があって人格が歪んだ状態だと分かるが通りがかりの犬は殺さなかった。
最後事故の衝撃で昔の状態に戻るが、殺人を犯している所が無機質な演技だったのがそこで柔らかい演技を見せるところの使い分けが本当に素晴らしい。
そして何より主演の森田剛の演技力が光っていた。どの演技も堂々と演じていて肝が座っている。
また役名と実名は同じだからそこもどこかリンクしているようで見ていて不思議な感じになったな。
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