「歴史を繰り返してはいけない…。」アイヒマン・ショー 歴史を映した男たち ガーコさんの映画レビュー(感想・評価)
歴史を繰り返してはいけない…。
アイヒマン、裁判中も一切感情をあらわにせず、ひたすら彼の無表情な様子が印象的でした。
戦争が終わり10年経っても、アウシュビッツの真実を語ることのできなかったユダヤ人の人々。
ようやく日の目が見えて訥々と語りだす、彼ら一人一人の証言が胸に迫ります…。
具合が悪くなり倒れてしまう証言者の姿を見ても、残虐な映像を見ても微動だにしなかった彼の佇まい。
その心の奥底に眠る感情が分からないままというのが居たたまれません。
以下、2017年再鑑賞記録。
アイヒマン。
大勢の人たちが見守る中行われた裁判で、彼は一体何を思っていたのでしょう。
ユダヤ人の大量虐殺の映像を見ても、感情を高ぶらせる事もなく、静かにただ映像を凝視している姿。
犠牲者たちが余りに悲惨な現実を訴え、精神的に追い込まれバタバタと倒れてしまう姿を見ても、平然と裁判の椅子に鎮座し続けていました。
そして、最終的に彼の心の声は全くわからないまま、死刑判決を受けるのです。
誰を責めるでもなくらひたすら自分を庇い続け、黙って静かに事の成り行きに身を任せ死んでいった男。
そんな静寂に身を包んだ男の記録がここにありました。
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