劇場公開日 2016年4月23日

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「非常に心が揺さぶられた作品でした。 知ることも大切なことですが、見...」アイヒマン・ショー 歴史を映した男たち HammondJ3さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0非常に心が揺さぶられた作品でした。 知ることも大切なことですが、見...

2016年4月24日
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鑑賞方法:映画館

非常に心が揺さぶられた作品でした。

知ることも大切なことですが、見聞きすることの大切さを本作は教えてくれたように思います。
フィクションとはいえ知識だけでは得られない追体験ができること、エンターテイメントとしてでなく後世に残すべきことを伝えることが、映画の一つの役割でもあると思えます。

収容所から生き延びた被害者たちが、他人に自分の経験を話しても信じてもらえない、という事実がもう衝撃的でした。裁判の場面における、証言者一人一人の言葉の重みは、大量虐殺という言葉では窺い知れない苦しみや悔しさがこもっていました。

本作でもう一つ焦点が当てられていたことは、映像メディアが持つ力だと思います。
「フロスト×ニクソン」で描かれていた、映像の強みをレオも知っていたことが興味深かったです。誰もがアイヒマンになり得る、誰もが加害者になり得る、映像というメディアを通して、レオが伝えたかったことです。レオがそのメッセージを効果的に伝えるために葛藤する姿は、作家の熱い執念が感じられました。
ドキュメンタリーの映画が撮られる裏側では、やはりそこにドラマが生まれていて、だからこそドキュメンタリーには人の心を動かす力があるのではないか、と観ていて思いました。

HammondJ3