劇場公開日 2017年2月24日

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「前作「セッション」同様、ラスト10分がすごい。」ラ・ラ・ランド DEPO LABOさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0前作「セッション」同様、ラスト10分がすごい。

2020年6月2日
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楽しい

興奮

・ジャズのドラマーを目指していた監督の私小説的なリアリティとファンタジーが交錯している映画
・ライブのステージの上ではないけど、スクリーンという違う場所でジャズをやる夢を叶えるという監督の貫き方がカッコイイ。

・「プラダを着た悪魔、お洒落で好き!」「アメリ最高!」というような人は100喜びそうな洒落乙映画。
・100%ミュージカル映画!かと思いきや、70%ジャズの映画。
・一見おしゃれでエンターテイメント!だけど、ジャズというマニアックなテーマ。
・前作セッションに続き、ジャズへの愛がほとばしっている。
・ジャズは伝統的でありながら、その殻をぶち破ることで歴史を作ってきた音楽。葛藤してその殻をぶち破ること自体が、ジャズという音楽ジャンルの特徴。
・映画の主人公と同じく、監督も葛藤している。

・今風なジャズをやってる黒人ミュージシャン役は、ジョン・レジェンドというガチジャズミュージシャン。
・そういう人が演じる役が、ジャズを続けるにはある程度時代に迎合しないとやってけねーよと語るのは説得力ありすぎ。
・「お前は他のやつより上手いけど、扱いづらい厄介者だ」というセリフは、説得力ありすぎ。

・セッション同様、台詞のない、音楽と映像だけでラスト10分(ぐらい)を彩っている。
・セッションのラストは、無骨で汗と血にまみれた男臭いものだったけど、今回は女性でも美味しく召しあがれる盛り付けになっている。
・こういった構成は、もはや監督の様式美になっている。
・時間も直線的に進むし、丁寧に物事を見せるから、一回見ただけで、もの凄い腑に落ちる。
・もう一回観なければ!という気が不思議と起きない。(それぐらい明快でわかりやすさがすごい)
・音楽と楽器を演奏する俳優の手の動きを完全に一致させたりと、音楽的なリアルさに気を配っている印象がある。(前作の反省を活かした?)

・古き良きアメリカ映画と、アメリカ音楽であるジャズがうまーく調和していた時代がある
・その時代を再現する懐古主義的な美しさがありながら、今の映像技術だからできる新しさもある。
・ノーカットでカメラがぐわんぐわん動く長回しのシーンがやたら多く、映画づくりの熱意がすごい。
・そんな感じで、いかにもアメリカ万歳!な内容でアカデミー賞ウケが良さそうだっただけに、作品賞のおあずけは残念だったね...。

・ファッションや構図がお洒落。合間に一瞬ばばばっと入る物や手の動きのカットもなんだか非常にお洒落。今っぽいお洒落さ。
・さりげないファッションが、実生活に活かしたくなるぐらい目を惹く。
・ジャングルみたいな柄のネクタイかっこいい!似合うとかどうとかいい!買うっ!

・喧嘩のシーンの切なさ。怒りは愛情の裏返しだということがよくわかる。

・人類史上最もサックスが上手いと言われてる(かも)な、チャーリー・パーカーが若かりしころ、巨匠のドラマーにシンバルを投げられた屈辱をバネに成り上がったという逸話を、すごい監督が好きなんだなあというのがわかる。(セッションでも引用していた)
・エマ・ストーンが一人舞台で挫折してから這い上がる様はまさにそれ。

【以降ネタバレ気味】

・それにしてもライアン・ゴズリングは、ぐわー頑張るけど報われない役が多いなぁ...。(そこがいい。)
・どんなにパートナーに振り回されても、「お前才能あるよ!」と勇気を与え続けるライアン・ゴズリングの寄り添い方は男としてかっこいいなあ!

・ラスト10分の美しさはなんなんだ。
・一生を添い遂げるだけが、素敵な男女の姿じゃない。
・そうはいかなくても、それはそれでいいじゃない、という軽やかさ!
・それを言葉じゃなく、顔で見せるという!顔芸!もはや顔芸術!

DEPO LABO