「古き良き新しい映画」ラ・ラ・ランド ハチミツ舐太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
古き良き新しい映画
デイミアン・チャゼル監督作品は「セッション」以来で二作目。
「セッション」は、素晴らしい映画だと感じた。あのいつ破裂してもおかしくないような緊張感とラストシーンでの開放感。気持ちよ過ぎた記憶がある。
今作は、黄金時代の作品やジャック・ドゥミ作品を意識しながら、でも全く持って新しい感覚の現代のミュージカル映画。
観終わった後に真っ先にそう感じた。
比べる事に意味は全くないし、何より無粋でしかない。過去を踏まえて、今この瞬間にミュージカル映画を撮るならこうなるという、ある種の答えのよう。
昨年10月に予告編を観てから、早く観たくてどうしようもない気持ちになっていた。
また、個人的に、過去のミュージカル映画は好きなので、オリジナルストーリーの新作ミュージカル映画は、心待ちにしていたものでもある。期待と不安を抱えて待っていたが、いざ始まってみると、素晴らしくて素晴らしくて・・・。渋滞シーンが始まった瞬間に、既に感極まった。
渋滞シーン、パーティーに向かうまでの支度のシーン、天文台のシーン・・・。どれをとっても、美しく、楽曲も気持ちよく長く耳に残る。
勿論ラストシーンも。あれは切ない。
途中、タップシューズに履き替えるところや、歌や踊りも自然な感じに、控えめなところが、また良かった。こういうところの感覚が素晴らしいんだよなぁ。
ロサンゼルスという街の良さを、これでもかと描いているのもナイス。これだと訪れてみたくなる。
あんまり意味はないのかもしれないけれど、天文台のシーンまでは、エマ・ストーンがスクリーンに写っている時は、殆ど、赤い何かが画面のどこかに写っていたように観えた。
その後は、写っていないところもあったように感じるが、もう一度観て確認しようかと思う。彼女の気持ちか何らかの変化を表しているのだろうか。
最後に、今年このような突き抜けた映画を、鑑賞できたのは大変な幸せだが、この後観る映画が色褪せてしまいそうで・・・。そこが困ったところだ。