「ハッピーエンドか否か、それを問うのが主題なのでは」ラ・ラ・ランド nakamura81さんの映画レビュー(感想・評価)
ハッピーエンドか否か、それを問うのが主題なのでは
夢を追いかける若者が集まってくる場所、それがLALALAND。女優を目指すミアとジャズピアニストを目指すセバスチャンが恋に落ちていくのも、その境遇が似ていたからだろう。
しかし、華々しい夢とは裏腹に、うまくいかない現実に直面し二人は悩み、互いの関係までうまくいかなくなっていく。
印象に残っているシーンのひとつ。
女優としての自信を無くし、セバスチャンともうまくいかなくなりすべてをあきらめたミアが実家に戻り、追ってきたセバスチャンに言った言葉。
「今度オーディションに落ちたら二度と立ち直れなくなるかも」
華々しい夢を追うことは楽しくエキサイティングなことかもしれないが、恐怖や不安ととなりあわせでもあり、それに打ち勝つ強さがなければならない。
もう一度女優の道を目指すことを決意したミア。
自分のジャズクラブを開店することを決意したセバスチャン。
二人は互いに「愛している」と言いながら自分の夢にチャレンジしていく。
5年後、不意に再開した二人は出会った時の思い出の曲を聞きながら(弾きながら)あの頃、描いていた夢いっぱいの将来を回想する。夢を追い、実現させ、二人愛し合い、幸福で満ち足りた世界。それはまさにLALALANDであった。鮮やかな色使い、美しい音楽、ダンスで描かれるその世界は見るものをまさにLALALANDへと導く。
ミアは女優という夢を実現させ、セバスチャンは自分の店を持つという夢を実現させたものの、曲が終わり現実に戻ると二人は一抹の寂しさを胸に別れていく。
この結末について、ハッピーエンドなのか否かという議論が巻き起こっているというが、その問い自体がこの映画の明確なテーマなのではないだろうか。
二人のように、
人生とは、夢を見ることで輝く。夢を追いかけるから成長する。夢に破れそうになったときに強くなる。夢を実現させるために、大切な何かを捨てなければならない……
あえて、極彩色のLALALANDを結末にしなかったことで、人生における幸せとはいったい何なのだろうと考えさせられる映画になったのではないか。
とくに大学生や高校生など若者に見てほしい映画だと思う。