「女子大生のジェイは彼氏のヒューと車の中で一夜を過ごした後意識を失っ...」イット・フォローズ よねさんの映画レビュー(感想・評価)
女子大生のジェイは彼氏のヒューと車の中で一夜を過ごした後意識を失っ...
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女子大生のジェイは彼氏のヒューと車の中で一夜を過ごした後意識を失ってしまう。椅子に縛りつけられた状態で目覚めたジェイにヒューが「お前にもあれが見えるだろう」と指差した先には見知らぬ人影。翌朝ジェイは警察に保護されるもヒューは行方不明。近づいてくる人影に怯えて逃げ惑うジェイは友人に助けを求めるが友人達にはその人影は見えない。
登場人物達の立ち居振る舞い、ジェイとヒューがデートする映画館、友人達の所持品、家財道具、車。あらゆるものに違和感が漂い全編不協和音で奏でられているかのような不穏で静かな映像の中をゆっくりと近づいてくる人影が象徴するものはまさしく我々が畏れているものの象徴であり、それから逃れるために彼らが求めるものもまた我々が望んでいるものであるが、それは儚く脆い。デトロイトの街に建ち並ぶ廃虚の向こうに浮かぶ若者達の虚無感はエミネムの『8 Mile』と同じ韻を踏んでいて、映像に映っているものすなわち目に見えているもの、ではない恐怖がいつも傍にある人生で我々がなすべきことを問いかける、極めて深遠なテーマを抱えた青春ホラー映画です。
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