「ホラーは滅多に観ないのだけど。」イット・フォローズ 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
ホラーは滅多に観ないのだけど。
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全体的に、居心地の悪さが漂い続ける。
効果音は、下手なバイオリンの旋律のようにちょっと音が外れたようで気持ち悪い。端末で小説を読める文明がありながら、古臭いTVからは時代遅れの怪獣ものが流れてくる。大人の存在がありながら、ほとんど身近な大人が出てこない。警察が来てくれる現実みがありながら、得体のしれない「IT」に追われる焦燥感に息が乱れる。そして、気付くと、画面の奥のほうからゆくりゆっくりと歩み寄る「IT」...。
この映画を、安易なセックスに警鐘を鳴らした映画、と観るのは容易いこと。
だけど監督はテーマは愛だという。
誰かに移したところで、いずれ「IT」がまた現れるかも知れない落ち着かなさが引っかかったまま、気味の悪さを引きずり続ける。
結局、「IT」は何なのか?
映画は、何を暗喩しているのか?
ゆっくりと変化もなしに忍び寄るのなら、それは「時間」なのか?
恐れるものであるならば、「老い」なのか?
ラストシーン、二人の後ろからついてくる「IT」。
おいおい、後ろから来てるよ!ってビビるのがいいのか、二人で歩き続けていさえすれば追いつかれることはないと前向きにとらえたほうがいいのか。
運命を共に生きようと誓ったように思えるポールとジェイの手が繋がれているところを見るならば、後者ととるべきだろうか。
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