「ミクロの視点で描かれる、戦争の悲惨な真実。」ふたつの名前を持つ少年 映画コーディネーター・門倉カドさんの映画レビュー(感想・評価)
ミクロの視点で描かれる、戦争の悲惨な真実。
【賛否両論チェック】
賛:“迫害”という凄惨な日々の中でも、手をさしのべてくれる人々の温かさが身に染みる。戦争の持つ負の部分について、深く考えさせられる。
否:歴史の予備知識がないと、退屈してしまうかも。最後の主人公の決断は、日本人の感覚からすると、やや理解しにくい部分もありそう。
戦争が生み出す“迫害”という悲劇の現実が、これでもかと描かれます。“ユダヤ人”というだけで暴力を受け、家を追われ、重傷を負っているのに手当てさえしてもらえない。そんな人間の悲しい一面がこれでもかと描かれ、思わずやりきれない気持ちになってしまいます。
一方で、そんな大勢に流されることなく、困っている者に温かい手をさしのべてくれる一部の人々の素晴らしさにも、思わず感動を覚えます。手術をしてもらえず、病院の廊下に放っておかれていた主人公を、年配の医師が見つけて激怒し、彼を手術室に運び込ませるシーンなんかが、特に印象的です。
歴史の知識があった方が、より感情移入出来る作品かとは思いますが、戦争の愚かさや悲惨さを痛感させられる、非常に社会派の作品です。
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