「観客は世紀の事件の目撃者となる」シチズンフォー スノーデンの暴露 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)
観客は世紀の事件の目撃者となる
スノーデン事件を客観的に検証する対応のドキュメンタリーかなと思っていたら全然違った。本作の魅力は、NSAによる個人情報収集を告発したエドワード・スノーデン事件を、歴史的瞬間の当事者として追体験できる圧倒的な臨場感にある。スノーデンが世界にNSAの問題を暴露したその瞬間にカメラを持ったクルーが立ち会っていたのだ。
監督のローラ・ポイトラスは、スノーデンが最初に接触したジャーナリストであり、彼が香港のホテルで告発を行うまさにその瞬間にカメラを回していた。そのため、本作は事件を外から眺めるのではなく、内側から記録した「共犯者」の視点で描かれる。
本作は新たな事実を提示する「報道」とは異なる。その代わりに、世紀の暴露が行われる緊迫した空気を究極の当事者目線で体験できる。このスリリングな体験こそが最大の魅力であり、観る者を単なる傍観者ではなく、歴史が変わる瞬間を目撃する当事者へと変える一級品のドキュメンタリー映画である。
コメントする
