黄金のアデーレ 名画の帰還のレビュー・感想・評価
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心を揺さぶられました
過去と向き合うこと/恥を知ること/ほんとうの誇りとは何か/一人一人の人生は特別だけれど、また同時に普遍的でもある/ヒロシマ/・・・・・
いろいろなことが頭の中を巡っています。これからますます「排斥」が世界を覆うであろう時代に、重要なメッセージを伝えている作品だと思いました。
それはそうと、ライアン・レイノルズって、私の弟にちょっと似てます。
想いを受け継ぐのに大事なこと
名画の所有権をめぐり、国家を相手に裁判を起こした女性の実話を基にしたお話。
事の顛末を全く知らなかったので興味深く、同年公開の「ミケランジェロ・プロジェクト」と対をなして、とても面白かったです。
時代に翻弄されながら強くしなやかに生きる主人公がとても魅力的でした。
先日、米大統領が初めて被爆地で黙祷を捧げるのをTVで見て、この作品のワンシーンを思い出していました。
その場に立って想いを致す事は、知識として理解するだけとはまったく違う。
あとに生きる者が少しでも想いを受け継ぐのに大事なこと、印象的でした。
その想いに真っすぐに、人生を変えていった男の話でもありました。
ヘレン・ミレンがキュート!なんとも魅力的でした。
相棒の弁護士を演じたライアン・レイノルズ、すっかり大人の顔になっていてとても良かった、ケイティ・ホームズ演じる妻とのさり気なくて温かい暮らしぶりも良かったです。
いろいろ考えることのできるいい映画
実話で結末はわかっていたけど、展開の内容が深い話だった。
個人のためのようで、みんなの話。戦争の体験があってもなくても、相手のことをまず思う気持ちがあれば双方にとってよい結果になったかもしれない。マリアは返還をのぞんだけど取り上げる気持ちはなかったと思う。オーストリア人がオーストリア人のために尽力してたら違った結末になったかも。
実話に基づく佳作。ヘレン・ミレンの存在感が印象的。ナチスドイツに追...
実話に基づく佳作。ヘレン・ミレンの存在感が印象的。ナチスドイツに追われた人々の大変さと苦悩が分かりやすく描かれている。混みいったストーリーでないので登場人物に素直に入っていける。最近観た映画の中では屈指の面白さ。
人にも名画にもルーツ有り!ルーツを探り出すのは自分の核に向き合う事
日本は島国で単一民族の為に、日常の意識の中で、自己のルーツに思いを馳せる事は中々無いものだ。だが昨今、我が国でも難民問題が浮上する事でようやく、自己のルーツや民族に意識が向く傾向が出てくる時も有るように思う。
この作品の面白さは、ヒロインであるマリアがナチスのユダヤ人迫害の脅威に因って、生まれ育った、愛する母国を追われアメリカに移住しなくてはならなかった彼女の人生。自己のルーツを充分知りながら、その忌まわしい過去の記憶と共に故国を封印してきた哀しいマリアの人生を描いている。
そして、その一方で彼女を助ける若き弁護士は、自己のルーツなど全く気にかける事も無くこれまで普通に暮らしてきたシェーンベルクが、彼女と係る事で、自己のルーツに徐々に目覚めてゆく事で、本当の自分の核とは何か?そのルーツに触れて行く事で、自己の役割やアイデンティティーに目覚め、彼の心と仕事に急激な変化と成長を遂げて行くと言うその対比が興味深かった。
一見真反対の方向を向いていたベクトルを持つ2人が出会う事で融合して、互いの良さを取り入れ急成長を遂げていくと言うもの。
マリア役のヘレン・ミレンの素晴らしさは、敢えて触れる必要もないだろう。
大戦当時の負の歴史に纏わる、実在のエピソードを描き出す事で、焙り出される戦争時に因る惨禍が自然と胸に迫る。
特に映像的に、ユダヤ人収容所等のエグイ映像を観客に見せる事をしなくても、嫌という程のリアルさで、戦時下の脅威が胸に迫り来る。
そして、戦争に係った人々の心の中では、戦争は決して過去形にはなっていない、現実の現在の生活の中にも暗い影を落としている忌まわしき問題で有る事が理解出来る。
この作品が史実を元に描かれている事を考えると、これと同じようなケースは多数有るに違いない。
人が芸術や、人間の良い部分に多く触れる事で、戦争等の負の部分を繰り返す事少なくなればこれ程良い事はない。
温故知新!やはり過去をひも解く事で、より良い未来が創造出来る事を願ってやまない。
名画が創り上げた"名画"。
史実を基に作られた作品のため展開は(邦題からも)読めてしまうのですが、それを忘れさせるとても深い作品です。
特に各キャストの名演がより深みを与えています。
主役マリア演じるヘレン・ミレンや駆け出しの弁護士役のライアン・レイノルズはもとより、ナチスの兵隊やその兵隊に間違った道を教える主婦など一人ひとりの生き様と時代背景がとても丁寧かつ印象的に描かれています。
最終盤で過去と現在の時系列が一致した場面では思わず鳥肌が。
芸術性の高い、まさに名画が創り上げた名画です。
個人的にはそんな作品を12/1の"映画の日"に今は無き"シネマライズ"で観れたことを幸せに思います。
よかった
主演の二人はもちろんですがとにかく出演者皆の演技が素晴らしい。
何かを成し遂げるのは強い思いなんだなと改めて感動しました。名画の辿ってきた数奇な運命。その向こうにある人々の様々な思い。涙が溢れてきて止まりませんでした。まさか泣くとは。
この絵を見に行きたい。
ヘレン・ミレンヘレン・ミレンですね
法廷ものかと思っていたら、過去のシーンでは手に汗握る場面も。
しかし、何と言ってもヘレン・ミレン。
この人なしではここまでも評価は得られなかった映画ではないでしょうか。
歴史を知っているとより楽しめます!
内容に裁判の話やナチスの迫害の話が出てくるので難しく感じるかもしれませんが、内容はシンプルです!映像はきれいだし、涙するシーンもありました。主役のふたりの台詞が心に刺さりました☆
ぜひオススメしたい2015年のベスト映画
2015年に観た映画の中ではベストだった作品。
まず、何よりもこれが実話をもとに作られているというノンフィクション作品であること。
戦争の恐ろしさ、不条理さを徹底的にリアルに描いていること。
各々の俳優陣がハマり役で、引き込まれること。
これら全てが相まって、2時間弱ひたすら映画から目が離せませんでした。
ストーリーとしては、戦争シーンから現代、裁判の様子などの様々な内容を全て盛り込んでいるので、若干テンポが良すぎてひとつひとつに対する描写が雑かな、というところはあったものの、特に戦争の回想シーンの恐ろしさや緊迫感は本当に半端なく怖かったし、考えさせられました。
最後にアデーレの絵が本当にオーストリアから返還されたとき、「自由って、平和って素晴らしい!」と叫びたい気持ちになりました。
世界各地で起きている紛争やテロを本当に防ぎたいと思ったし、この作品をニューヨークで見て、それをさらに実感したいなという次の目標ができました。
忘れられない作品になりそうです。
ヘレン・ミレンの際立った演技
ドイツ人の英語に本当に似ている。
イギリス人であることを忘れてしまうほどの素晴らしい演技でした。
実話なのにシーン展開が楽しみになった。
脚本が良いのか?演出が良いのか?
見てよかった。
戦争の痛ましさを再認識する
世界大戦時と現在が並行して描かれることで、マリアの過去の悲しみが明らかになっていく。
戦争は、理不尽で許し難いもの。マリアの忘れることのできない深い悲しみと同じ想いをした人が、他にも大勢いたと思う。自分の財産を不当に奪われ、自由を奪われ、命を奪われることの苦しみは深い。
単純に正義が叶えられたということではなく、もっと複雑な政治的背景はあったのだろうとは思うけれど、人々が未来まで忘れてはいけない出来事を、一枚の絵画と1人の女性を通じて教えてもらった。
クリムトの名画に描かれたのは自分の伯母であり、ウィーンの美術館に飾...
クリムトの名画に描かれたのは自分の伯母であり、ウィーンの美術館に飾られているその絵はナチスに不当に没収された自分の家系のものであるので返還して欲しい、とオーストリア政府を相手に裁判を起こした女性の実話。上流階級の主人公が夫と共にナチ政権下オーストリアからアメリカに逃げるシーンが映画の約半分、一国の政府相手に裁判に持ち込んでからの困難が約半分。現代の主人公がデイム・ヘレン・ミレン、弁護士を頼む青年をライアン・レイノルズです。ヘレン・ミレンは年相応のおばあさんに見えたり気品ある女性になったり、さすが。ライアン・レイノルズも若干切れ味の悪いお坊ちゃん弁護士役がハマっています。
そのお坊ちゃんがアメリカから訪れた祖国オーストリアでホロコースト記念碑の自分の曾祖父母の名前を見て、初めてハッとする場面など、あの戦争は完全に終わったものではないということがわかる。
過去は変えられない
世界史は得意じゃないけど、過去の戦争や罪は消すことが出来ないことを改めて感じました。
景色とかファッションが素敵でそれだけでも楽しめる作品。
最後は涙涙でした。
ヘレン·ミレンさんがとにかく綺麗でカッコイイ!
あんな風に老いたいものです。
なんか引っ掛かる
ナチに略奪されたクリムトの絵を取り戻す話なんだよ。
法廷闘争は良く描かれてるし、ヘレン・ミレンとライアン・レイノルズの演技も凄く良い。フィクションだったら、すごくいい映画だと思うよ。
ただ現実の話だから引っ掛かんの。
「ナチに全てを奪われた」ってのは酷い話だし「ナチひでえ!」と思う。とはいえ、元の生活は凄いお嬢様なんだよね。クリムトの絵が家にあるくらい。なんか、そこでもう、共感できない。
弁護士もね「ウィーン出張で何かが変わったんだ」って、仕事辞めて借金して弁護を続けんの。奥さんも献身的なの。「ええ話や」と思うね。
でもさ、流石に成算なかったらやらないでしょ。
「勝っても負けても、これで知名度が上がるから、弁護士としてやってけるんだ」と思ってると思うな。その辺も描いて欲しいわ。
それでこの人達、最後オーストリアから取り戻した絵を売って無茶苦茶もうけんの。「えー!」と思うね。
これだけ崇高なこと言ってんなら、オーストリアが不法収奪認めたことに納得して、絵は美術館に残せばいいのに。
法廷闘争でアメリカの最高裁で勝ってるしね、なんか最後はアメリカvsオーストリアみたいに見えちゃうね。ヨーロッパがアメリカに屈したように見えちゃう。
その辺りが、ちょっと観終わってスッキリしなかったな。
素材はすべて超一級品なのだが
音楽の都、芸術の都といわれるオーストリア、ウィーン。モーツァルトやベートーヴェンが住んだ街であり、ここで開かれる音楽祭には世界各国から観客が押し寄せる、世界有数の観光都市。そこが故郷なんて、日本人からすると羨ましく思いますね。
だけど、その故郷に、二度と帰りたくない、と思う人物もいるのです。
華やかなウィーン。実は影の顔があります。ウィーンがあまり表に出したくない、忌まわしい過去。
かつてナチスドイツがウィーンを併合したとき。ウィーン市民たちは、あのヒトラーを大歓迎して出迎えました。
やがてウィーンでもユダヤ人の迫害が始まります。
迫害などという生易しいものではなかった実態が、本作でも描かれます。
それはナチスがユダヤ人を「狩りの獲物」のように執拗に追回し、狩っていたのです。
本作については、正直、やや期待しすぎました。
なにせ、主演はエリザベス女王を演じたキャリアを持つ、ヘレン・ミレンですよ!
僕はヘレン・ミレンが演じた「クィーン」を観ました。
そのとき僕は、精神状態が極めて敏感になっていた時期でした。
上映中、あまりにいたたまれず、途中退席した記憶があります。
それは作品が稚拙だったからではありません。その真逆です。
作品が素晴らしすぎたのです。
ヘレン・ミレン演じる、エリザベスのあまりの孤独、疎外感、その波長が、当時、僕が置かれていた境遇と、まさに振幅がぴったり合ってしまったのです。
小さな振動でも、ある周波数の波長が合うと「共振」という現象が起こります。それは巨大な橋梁でも破壊してしまう巨大な力となります。
僕の精神の中に、まさにその「共振」が起こったのでした。
ヘレン・ミレンの演技によって僕の心が破壊されそうになったのです。
それほどすごい作品であり、名演でした。
そして本作では、作品のモチーフとして、グスタフ・クリムトの傑作と名高い「黄金のアデーレ」という肖像画が登場します。
ナチスによって強奪された、この名画の返還を求めて、主人公マリア・アルトマンがオーストリア政府を相手に訴訟を起こし、ついに名画を取り戻すという、奇跡のような本当の話がベースになっているのです。
セミドキュメンタリー仕立てなのですね。
「事実は小説より奇なり」はまさに真理です。
頭でこねくり回したストーリーより、ドキュメンタリーの方が数百倍も面白い。興味深い。
これだけの「美味しい」材料をギュッと映画作品に押し込んだのが本作。
面白くない訳がない!!
とあなたも、思うでしょう? 僕もそう思ったから観に行きました。
ところが、実際は、残念ながらイマイチでした。
告白すると、前半はうかつにも寝てしまいました。
最大の問題は、編集でしょうね。
映画の後半などは、安物の紙芝居のようにポンポンとストーリーが展開してゆきます。
ヘレン・ミレンの重厚な演技を期待したいところでしたが、これが監督の趣味の問題なのか、意外にあっさりとした味付け。
むしろ素晴らしかったのは、回想シーンにおける、若い頃の主人公。それを演じた、日本ではほとんど知られていない女優さん、タチアナ・マズラニー。
この人は良かったねぇ~。ちょっと大竹しのぶさんに似ていますよ。
ナチスの追っ手が迫ってくる。夫と共に、オーストリアからアメリカへ脱出を目指します。隠れては逃げ、隠れては逃げ、あと少しで飛行場までたどり着く、その緊迫感。
ナチは、逃げるユダヤ人相手には平気でピストルを向ける、発砲する。もう、相手を人間と思っていないのです。そういうナチスの手から逃避行をする緊迫のシーン。これはよかったですよぉ~。
当時、ユダヤ系の人たちがどのような形で、国外へ逃れたのか? 本当に命がけの逃避行であったことがわかります。
それから、本作において、ヘレン・ミレンが、あえて「ドイツ語訛り」の英語を話していることに、皆さん気づかれましたか? その辺りはさすがですね。
それから、ウィーンの新聞記者役のダニエル・ブリュール。彼はもう、抜群でしたね。むしろ本作において真実味や、重厚さを与えたのは、彼の存在感が大きかった。彼のドイツ語でのセリフ回し、これが何より作品に緊迫感とリアルさを与えていて素晴らしかった。
彼の主演した「コッホ先生と僕らの革命」 「ラッシュ/プライドと友情」どちらも僕は鑑賞しました。素晴らしい俳優さんに成長していますね。
本作では、訴訟を起こすキーマンとなる、若いアメリカ人弁護士、この人は作曲家のシェーンベルグの子孫なんですね。ウィーン政府相手に大胆な訴訟を起こし、一度は挫折を味わうわけですが、その後、アメリカでも訴訟を起こせる、と思いつき、再度アメリカにおいて訴訟を起こします。この辺りの彼の複雑な心境、自分の出自、そして、もう一度訴訟を起こそうと決意する、そのあたりの心の揺れ動き、一つの国を相手に一個人が訴訟を起こすという、極めてレアなケースの訴訟を、「どうしてもやり抜くんだ」という決意。それが、どうして彼の心の中で生じたのか? その動機をうまく表現できないもどかしさを感じてしまいました。このあたりがちょっと残念。さらには「黄金のアデーレ」という名画、とクリムトという絵画界の大スター、これをもう少し掘り下げて描いても良かったのでは? と美術ファンなら思うところなのです。その辺りに食い足りなさを感じてしまう作品でありました。
いやぁ~、作品を構成する素材はすべて超一級品ばかりだったからこそ、それを生かしきれなかったのは、残念でなりませんでした。
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