「勝利と喜びと悲哀」黄金のアデーレ 名画の帰還 メイばばさんの映画レビュー(感想・評価)
勝利と喜びと悲哀
若い頃にみたクリムトの絵「接吻」は斬新で官能的で色彩豊かで衝撃をうけました。
そのクリムトの「黄金のアデーレ」がナチスによって盗まれていた。それ以外の名画も然り。
アデーレの姪のマリア・アルトマンを演じるヘレン・ミレン
彼女は私と同じ年なのです、背筋伸び凛とした彼女に最初の画面から魅了されました。
伯母の絵を取り戻すべくオーストリアに行こうと若い弁護士に誘われてもすぐにイエスと言わなかったのには、
深い訳があったのですね。このふたり年の差はかなりあるけれど、彼女の絵に対する情熱に若者は惹かれ、
マリアはランドルの正義感に励まされ、次第に不思議な友情が生まれる。ふたりの会話に私はほくそ笑む。
なんか嬉しいです。
両親の直向な努力で裕福な家に生まれた子供の頃、アデーレはあこがれの人、
恋を知り結婚したマリアなんと輝いていた日々でしょう。
年を重ねると、懐かしい光景を思い出す事が多々あり、それは何でもない日常であったり、晴れやかな場面だったりする。あーこの気持ち映画に酔いしれました。
しかし大戦がはじまると数々の試練が彼女を襲うのです。両親、友人との別れ、祖国オーストリアと決別。
戦時中は多数あつたのでしょうね。こんな別れが・・・。
先日「シャトーブリアンからの手紙」も観ました。これも理不尽な事実です。
「アデーレ」を取り戻した時弁護士ランドルの前でマリアが語った真実、そして涙辛いですね。
時代に翻弄され愛する娘との永遠の別れ、両親の心情は如何ばかりかと私も涙しました。
過去と現代と取り交ぜ、激しい怒りというより静かな深い悲しみ観せてくれました。私の心にも。
ヘレンのファツションも素敵でしたね。
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