「フィン・エアの帰国便で視聴」Mr.ホームズ 名探偵最後の事件 詠み人知らずさんの映画レビュー(感想・評価)
フィン・エアの帰国便で視聴
1947年、美しいドーバー海峡を望むサセックスの農場で、養蜂をしながら余生を送っていたシャーロック・ホームズは93歳になっていた。30年前に、自身を引退に追い込んだある夫人の事件が映画になっていることに気づくが、真実を伝えるために、手記を残すことを決意する。
30年前の事件と当時の捜査、年取った現在の彼が農場で雇い入れた家政婦、マンロー夫人とその息子ロジャーの力を借りて事件を思い出すところが、カットバックで交互に描かれてゆく。
ただ、二つ気になることがあった。
一つは、日本に対する英国の好意が感じられたこと、この映画の公開のすぐあとノーベル文学賞に輝いたカズオ・イシグロの影響もあるのだろう。ホームズは、日本から梅崎という男(扮するのは、真田広之)に呼ばれて、終戦直後の広島を訪れるが、その情景は日本というよりは、英国人の頭の中にある日本を思わせた。駅のプラットフォームの往来や食堂の内部は、どうみても戦争中の国際都市・上海のそれだった。
もう一つ、ホームズとマンロー夫人、ロジャーとの間を決定的に結びつけるハチのエピソードが出てくる。ホームズとロジャーはミツバチを飼っているから、ロジャーがスズメバチに刺された時に起きたのは、アナフィラキシー・ショックか。
最後に、ドーバー海峡を見晴るかす農場の庭で出てきた石は、英国や日本のストーン・サークルを思わせた。英国の話だけれど、世代を超え、日本にまでつながってゆくところがよかった。
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