「なにもかもが純粋だった1955年が羨ましい!」ディーン、君がいた瞬間(とき) Cディレクターシネオの最新映画レビューさんの映画レビュー(感想・評価)
なにもかもが純粋だった1955年が羨ましい!
映画「理由なき反抗」を観た高校生から、
ずっと憧れてたジェームズディーン。
そのころ手に入れた、
天才カメラマン「デニス・ストック」の写真集は、
ページが擦り切れボロボロになるくらい眺めました。
銀幕では見られないスターの素顔に、
どれだけのため息をついたことでしょう。
この映画はそんな雑誌「LIFE」の写真家デニスが、
無名の新人だったジミーを密着撮影した2週間の物語。
ジミーが自動車事故でこの世を去る数か月前のことですね。
野心を燃やしていた二人がだんだん共鳴しあい、
時代を変える写真が生まれる。
そんな背景が、静かに語られています。
ジミーは有名になるにつれて、
インディアナの家族が愛おしくなり、
デニスも仕事や別れた妻子にうまくいかない。
そんな二人の孤独な魂が、
ジンジンと響いてきました。
2人が心を許しあったから、
あの素晴らしいスティールの数々が生まれたんだな。
そんなカメラマンと被写体の大切な関係が、
丁寧に描かれています。
それはアントン・コービン監督自身も、
U2、デヴィッド・ボウイ、ローリング・ストーンズなど
世界の大物ミュージシャンを撮影する写真家だから。
デニスのスターたちとの親密な写真から、
その被写体との関係に興味をもったのが、
この企画のきっかけらしい。
写真家監督のス写真の積み重ねのような映像も、
全編にわたって美しすぎでした。
それだけでも、観る価値ありです。
アメイジング・スパイダーマン2で
クセのあるハリーを演じたデイン・デハーンは、
ジミーを見事に演じています。
はにかむように口ごもりした口調に、
等身大のジミーはこんな感じだったんだろうなぁと、
嬉しくなります。
ほぼ主役なデニス役のロバート・パティンソンも、
トワイライトシリーズで有名な名優。
彼に感情移入して、
ふたりの苦悩に胸が熱くなります。
なにもかもが純粋だった
1955年が羨ましくなる、
切なくて爽やかな映画でした。
そして私事ですが...
今作で2015年劇場100本目を、無事達成(笑)
会社員と映画ファンの両立は大変だったけど、
目標達成できて嬉しいです。