「永遠の青春スターJDとDSの物語は星10個でも足りない位!」ディーン、君がいた瞬間(とき) Ryuu topiann(リュウとぴあん)さんの映画レビュー(感想・評価)
永遠の青春スターJDとDSの物語は星10個でも足りない位!
もっともっと早くに、公開と同時に観れば良かったと後悔が残る作品だった。
24歳の若さで突然事故死した伝説のスター、ジェームス・ディーン!
永遠のティーンエイジャーのシンボルと言われ、死後60年も経過した今現在でも、尚人々に影響を与え続けているジェームス・ディーン。
そしてその彼の素顔をカメラに収めた唯一のフォトグラファーこそが、デニス・ストック。
この作品はそのデニスの目線を通して語られるジミーの束の間の故郷への旅の物語。
物語の主人公は当然デニスではあるけれども、デニスがジミーと過ごしたその2週間の故郷を訪れる旅の日々をメインに描く本作は、ジミーは準主役になる。
それなので大のジミーファンで有る私にとっては自分の中に有るジミーのイメージが壊されるのが嫌で、本作は観たいけれど、しかし中々映画館に足を運ぶ勇気が出なかった。
私は14歳の頃に本屋で映画スター写真集がスクリーン誌から出版されていて、その中の一冊の
ジェームス・ディーンの本に目が留まり、彼の映画がリバイバル上映されると映画館へ駆け込んだ日の事を昨日のように鮮明に記憶している。
そして、「エデンの東」のファーストシーンでジミー演じるキャルが自分の目の前を通り過ぎる
その女を見上げるあの姿を観た瞬間、「ジェームス・ディーンはこの映画が残されている限り永遠に生き続ける」と確信し、それ以来ジミー熱を発病したまま現在に至ると言う訳です。
私が学生時代当時はシネコンも無く入れ替え制では無かった為、1回目の上映から最終回迄丸1日中何度も同じ映画を観て過ごしていた。学生時代には英語のセリフだが暗記出来るのではと錯覚を起こす程ジミーの映画を観続けたものでした。
その為、今も記憶の中にジミーの声が鮮明に残る為に、下手な俳優にジミーを演じられると自分の中のジミーの記憶が壊されるのが嫌で怖くて本作を観られないでいた。
案の定ファーストシーンのジミーのイメージはちょっとヒヨワで芝居的にデフォルメされているようで嫌だなと思っていたが、話が徐々に進んで、ジミーの故郷のインディアナへの旅に出るシーンを観る頃には、完全にジミーその人とデニスの脇に自分も一緒に並んで同行しているかのような錯覚さえ起こしてしまい、映画を飛び越えて完璧に自分が作品の中に迷い込んでしまうのだった。
そして映画が終わる頃には完全に10代の頃の自分に戻っていた!とても衝撃を受けた作品だ。
もう完全にジミーがこの作品に蘇ったとしか思えないのだった。
こうして写真家デニスが成功を修め、ジミーと知り合う事で大きく人間的に成長し、彼の未来の方向性を見つけ出す事が出来たと言う事を知るのはとても嬉しい事だし、素晴らしい事だと思った。
DVDではなくまた、映画館のスクリーンでジミーの映画を思いっきり気が済むまで観たい衝動に駆られる。私の人生の友と言うべき映画の根っこに存在するのがジミーなのだから。
もしも、ジミーの映画がこの世に存在していなかったら、私は此処まで映画好きにはならなかった事だろう。
デニスの生き様を変える大きなターニングポイントのきっかけを描いた素敵な青春サクセス物語であると同時に、50年代当時のアメリカの大都市NYとインディアナのゆっくりと流れる田舎の風情を浮き彫りにし、この当時の都会と地方の文化の相違を描いた作品としても素晴らしい。
クエカー教徒として素朴に生きていたジミーの素顔に触れたような気がする心温まる作品だった。
また何度も観たいのだが、残念な事に上映は終りそうだ。公開同時に観れば何度も観られたのに!