「静なる凶暴。」ヒトラー暗殺、13分の誤算 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
静なる凶暴。
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タイトルにあるように、もし13分の誤算がなかったら、
時代は変わっていただろうか…。42回もの暗殺計画が
あったにも関わらず、暗殺されなかった独裁者の行動
が世界に齎したあの悲劇。今作で描かれる暗殺劇には
たった一人の人間しか関わっていなかったという前代
未聞の計画談がある。一介の家具職人にすぎない男に
どうしてこんな計画が立てられたのか。興味が募るが、
それよりこの男をテロに掻き立てた動機は何だったか。
静かに彼の半生を紐解きながら、その犯行までに迫る。
ヒトラーが一足早くその会場を後にしたことで、爆破
による死傷者は残っていた市民が大半となってしまう。
同じドイツ人がなぜこんなことを?と問いただす秘密
警察の前で単独犯行を語れば語るほど嘘つき呼ばわり
され、絶対に仲間がいるはずだと黒幕探しに奔走する
彼らを冷めた目で見つめる主人公エルザーは終始怖い。
物静かで目立った行動もしない彼がなぜこんな計画を?
と友人や恋人ですら気づかなかった彼の強かさが狡猾
であることと、その表情や物腰の柔らかさから想像も
つかないことが観ているこちらまで伝わるが、結局は
平和や友好、自然を愛する普通の若者に過ぎなかった。
独裁者を憎む気持ちと爆弾の知識が優れていたことが、
俺がやらねばという自負に変わっていったのだろうか。
長く生かされ、やつれ果てた彼の晩年の姿が悲しいが、
ラストに映る本人の姿がこれまたイケメンすぎて参る。
(ポスター・チラシの画が巧い。皆が同じとは限らない)
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