「映画紹介の仕方に問題あり。次作に期待。」チャイルド44 森に消えた子供たち ぱんだまるさんの映画レビュー(感想・評価)
映画紹介の仕方に問題あり。次作に期待。
あるテレビ・映画シリーズで活躍するチームがどういう経緯で集まったのか、という前日譚。まさにそんな感じ。
今作も仮にトムハーディとゲイリーオールドマンがツーカー的仲で事件解決に向け活躍している作品を見た後だったらまた違った評価・楽しみ方も出てきたのかなと思うが、今作単体で見ると、どーにも味気ないというか。はっきり言ってつまらなかった。
映画紹介・あらすじから子供の連続殺人事件を追いかけるエリート軍人の話、と思いこれは面白そう!と見に行ったわけだが、蓋を開けると殺人事件はちょっとした添物というか。事件が動き出すのは上映時間の半分を過ぎてからだし、そこにしても謎解きで魅せるわけでも、事件的な意味でいろいろ考えさせるわけでもない。
また、無駄な、というか話運びから浮いたアクション要素。これ必要か?と思わずに入られない、すんなりと入れない、それ。無理やり盛り上げようと、勢いをつけようとしてる感たっぷりで幻滅。時間も無意味にかけすぎ。
今作は時間の多くを占める部分、つまり主となるのが主人公とその妻の話、主人公と組織(国)の話、なんですね。主人公と殺人事件の話じゃない。映画の紹介の仕方、実際殺人事件を解決するし内容的には間違いじゃないけど……大いに問題あり!
イメージとしては江戸川乱歩だと紹介されて見たら松本清張だった、みたいな。社会派ものなら社会派ものでいいんだが、妙に薄っぺらく、ぼやけている。そのくせ変に動的。バイオレンス。落ち着いてみせてくれない。中途半端なのだ。
原作あり故にストーリーや話運びに難癖をつけてもしかたないのかもしれないがどうにも上手くないように感じた。原作はある年のこのミステリーがすごい大賞で海外部門1位ということだが、この程度のものが1位なのかい……。あるいは原作はもっとおもしろく深い内容を感じさせるもので、単に映像化に失敗しただけなのか。
最後に。ただ、最後の殺人課設立のくだりで「おっ?(゚∀゚)」とテンションがあがったのも事実。ゆえにタイトルの次回作に期待となった。今作で組織や国・人物とその関係に時間を使った分、次回はすぐに事件に入っていけるだろう。シリーズ化されたとして、次回作が実質的な1作目になる。次作が面白ければ、今作をもう一度見直しても良いかもしれない。