「.」チャイルド44 森に消えた子供たち 瀬雨伊府 琴さんの映画レビュー(感想・評価)
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自宅(CS放送)にて鑑賞。旧ソ連を舞台にした連続殺人事件を元に国家上層部の秘密主義や理想主義による矛盾や軋轢を描く。但しA.R.チカチーロの起こした実在の連続殺人事件は'80年代であるのに対し、本作ではスターリン体制下の冷戦時代'50年代に改められ、被害者の数や細部も微妙に変更されている。事件はあくまできっかけ程度で触れられるだけで、猟奇的な好奇心で観るとすっぽかされる。テンポや構成に難があり、人間ドラマとしての演者達の重厚な演技が活かされておらず、全体にまとまりの悪い混乱した印象が残る。50/100点。
・“レオ・デミドフ”のT.ハーディやその妻“ライーサ・デミドワ”のN.ラパスは、これ迄の印象を覆す演技を見せた。脇を固める“ネステロフ将軍”のロシア訛りを披露するG.オールドマンも抑えた雰囲気で佳かった。
・飢餓が蔓延るウクライナの片田舎から始まる物語は、秘密警察内部や社会の異様さが全篇で際立っており、ロシアでは史実をゆがめていると云う理由で公開中止の措置をとられた。尚、本作では'53年から始まると設定されおり、これはJ.S.スターリンの亡くなった年である。
・最初の編集を終えた段階で、約5時間半にも及ぶボリュームになっていたと云う。亦、撮影は当初、P.ルースロが予定されていたが、O.ウッドにバトンタッチされた。
・鑑賞日:2017年1月18日(水)
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