劇場公開日 2016年5月7日

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「砂の器を凌駕するかも知れない」64 ロクヨン 前編 Trssさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0砂の器を凌駕するかも知れない

2016年5月14日
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こういう邦画と巡り会えた幸せを感じました。作成に携わった全ての人の、志の高い映画と思いました。

冒頭から、緊張感漂い、かつ美しい映像が、目を惹きつけます。もはや、ひと昔前になった昭和が、目の前に、生々しくその姿を見せてくれます。昭和天皇崩御と、誘拐された女の子の死が重厚に折重なり、一つの時代が終わった事と、それを終わらせたくない、ある意志が、ぶつかり合うドラマは、圧倒的な迫力を持っていました。

俳優の起用も見事で、リアリティのある社会派ドラマとなりました。佐藤浩市の存在感は見事で、逃げ場のないストレスフルな立場に耐える男の姿が痛ましい。だからこそ、そんな男が、それでも人を信じて戦う前編最後のシーンが、みんなの涙を誘うのだと思いました。後篇が早く見たくなりました。

後篇が、前篇のクオリティを保ってくれれば、この映画は、邦画史上に残るあの 砂の器と同等の、あるいはそれを凌駕する金字塔になるかも知れません。

Trss