劇場公開日 2016年3月5日

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「【”これが私が生きる道。”今作はロッカーになるために夫、子を捨てた女が、娘の鬱病、息子の結婚に対し、母として彼女なりの愛情を歌で示したロックンロールヒューマンドラマである。】」幸せをつかむ歌 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5 【”これが私が生きる道。”今作はロッカーになるために夫、子を捨てた女が、娘の鬱病、息子の結婚に対し、母として彼女なりの愛情を歌で示したロックンロールヒューマンドラマである。】

2025年9月8日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

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■ミュージシャンになる夢を追って家族を捨てたリンダ(メリル・ストリープ)は、バンド”ザ・フラッシュ”を組みライブハウスで演奏しながら、昼はスーパーのレジ打ちをしながら生活を送っていた。
 ある日、元夫ピート(ケヴィン・クライン)から「離婚した娘ジュリー(メイミー・ガマー)を元気付けてやってほしい」と連絡を受けた彼女は、娘の元へ駆け付けるが、彼女を迎えた娘や息子二人は幼き自分達を捨てた母に冷たい態度を取るのであった。

◆感想<Caution!内容に触れているかな?>

・私は、映画を観ている時に、思い入れの或る好きな曲が、映画館で大音量で流れると、物凄く盛り上がる変な癖がある。
 最近で言えば、「遠い山なみの光」の序盤で、"New Order"の初期名曲「ceremony」が流れた際や、翌日に観た「バード ここから羽ばたく」を観た時に登場人物が声を揃えて歌った”Coldplay"のコレマタ初期名曲「yellow」が流れた時は、思わず脳内で盛り上がり、ググっと映画にのめり込んで行くのである。
 音楽の力だと思う。

・今作でも、家庭をロックスターになるために、若い時に捨てたリンダに対し、家族はよそよそしい。それはそうだろう。
 だが、今作では精神を病んだ娘ジュリーは、父のいう事は聞かなくても、長い間離れ離れになっていた実母の言葉は聞き入れ、身だしなみを整えるのである。
 母親の力だと思う。

・そして、息子ジュシュ(セバスチャン・スタン)の結婚式に、彼女は恋人グレッグ(ナント!リック・スプリングフィールド!)と、バンド”ザ・フラッシュ”と共に出席し、ゲイの息子のパートナーには偏見なく挨拶してから、可なり心配そうな家族の視線を浴びながらも、ステージに立ち、スプリングスティーンの”My Love Will Not Let You Down"を歌い上げるのである。
 その曲に乗って、新婦と踊るグレッグの嬉しそうな姿。
 その後も繰り出されるナンバーに合わせ、会場の人達は笑顔で踊り始めるのである。

■それにしても、メリル・ストリープのロックシンガーの如き、歌声は凄い。彼の大女優は様々な声色を使い分け、訛りも使い分ける方であるが、今作のラストのステージシーンは圧巻である。正に”これが私が生きる道。”なのである。

<今作は、ロッカーになるために夫、子を捨てた女が、娘の鬱病、息子の結婚に対し、母として彼女なりの愛情を歌で示したロックンロールヒューマンドラマなのである。>

NOBU
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