「何から何まで「惜しい」映画だった」パーフェクト・ルーム といぼ:レビューが長い人さんの映画レビュー(感想・評価)
何から何まで「惜しい」映画だった
TSUTAYAのレンタル棚でジャケットと簡単なあらすじを読んで「面白そう」と思って借りた映画。内容に関する事前知識はほとんど無く、リメイク作品であるということすら知らない状態での鑑賞です。
結論から言えば、「もうちょい何とかならなかったのか」という印象。
映画の設定はめちゃくちゃ面白そうなのに、せっかくの設定が全く上手く転がらない。「面白そう」から「面白い」まで到達しない。あらすじ以上の展開が起こらないので何の驚きも感じませんでした。とにかく「設定は面白いのに勿体ない」と思わせられる映画でした。
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それぞれが家庭を持ち、順風満帆な人生を歩んできた仲の良い男5人。その中の建築家のビンセント(カール・アーバン)の提案によって、5人は妻たちに内緒で豪華な部屋【ロフト】を借り、浮気相手を連れ込む部屋として共用していた。そんなある日、施錠されたロフトで若い女性の死体が手錠で繋がれた状態で見つかる。部屋の鍵は5人しか持っていないため、5人のうちの誰かが関わっていることは間違いない。ロフトの存在を妻たちに知られたくないため警察に連絡することも憚られる。5人は女性の死体について議論を繰り広げ、徐々に疑心暗鬼に陥っていく…。
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あらすじだけ聞くとめちゃくちゃ面白そうじゃないですか。女性の死体の謎を解く密室ミステリー映画としても面白くできそうだし、例えば「5人全員がブロンドヘアの女性と浮気関係にあって、うつ伏せになっているブロンド女性の死体が自分の浮気相手だと5人全員が勘違いして会話を繰り広げる」みたいな勘違いブラックコメディとしてもそこそこ面白くできそうな気がします。
しかしながら本作はこの設定を全然上手く活かせていない印象です。密室ミステリーとしても正直イマイチでしたし、真相も「そんなことだろうと思った」って感じでしたし、真相発覚してからも蛇足のような展開がダラダラと続くし。密室会話劇になるかと思いきや回想シーンが多すぎて全然密室会話劇には見えない。意味のないシーンが異常に多い。「衝撃の展開」を最後に持って来たいのであれば、ミスリードをしっかり作るべきだと思うけどそれも無い。
とにかく最初から最後まで「もうちょいがんばれよ」って感じの映画でしたね。
映画の構成は以前レビューした『9人の翻訳家』という映画と非常に似ています。騒動の後日談となる取り調べのシーンが合間合間に挟み込まれるような展開で、ラストシーンに繋がるという構成です。『9人の翻訳家』では合間に出てくる取り調べシーンがラストの展開に密接に関わってくる重要な演出になっていましたが、本作では取り調べシーンが特に後の展開に関わってこないので意味のないものになっていました。