「ドキュメンタリー手法を取った青春SFもの」プロジェクト・アルマナック REXさんの映画レビュー(感想・評価)
ドキュメンタリー手法を取った青春SFもの
奨学金を得るために発明品の開発にいそしんでいる主人公デイビット、その過程を証明するために撮影を始める妹という設定には無理がない。
同じオタク仲間と実験に失敗したり憧れの女の子に茶化されたりと、キラキラした青春が詰まっているものの、冒頭はありきたりな描写が続く。
展開が急変するのは二回、デイビッドが亡くなった父親の遺品のビデオカメラがきっかけでタイムマシンの設計図を発見するところと、タイムトラベルを繰り返す余り「現在」がどんどん悪い方へ変わってしまうことに気がつく場面。
「全てがうまくいく」と浮かれていた仲間達は、宝くじを当てたり、いじめの復讐をしたり、行きたかったフェスに参加したりと、
若者が考えつきそうなことを手当たり次第行って、青春を謳歌する。しかしクラスメイトの死をきっかけに雲行きが怪しくなる。
映画会社の宣伝文句のように「世界は破滅に追いこまれる」わけではないが、「大変なことになっちゃった」という彼らのパニックぶりが逆に等身大で好ましい。
この映画のタイムトラベルは、過去に戻るたびに様々な未来が派生するわけではなく、一つの時系列を行ったり来たりする考え方。
UNOでリバースを二回出しても同じゲームが続いていくのと同じで、一度過去に戻っても同じ時系列で人生は進む。
マシンを動かした時点と空間がマーキングされるようなもので、戻るときも必ずそこに戻ってくるので、行ったり来たりしてもわかりやすい。
現在に戻ると歴史が書き換わっていて、自分たちだけが知らないというのもお約束。
「過去の自分に会ってはいけない」というルールが破られたときの現象の描き方は、賛否あるだろう。
タイムトラベルを描くときに、制作側が必ず直面する問題ですよね(笑)。
デイビットが父親を殺さなければならいのかな?などと予想していたら、絡んでこなかったのは肩すかし。
ま、いい意味で高校生等身大の物語になっていたんだろうなと思います。
ちなみにフェスでステージに乱入した際、歌っていたバンドは【イマジン・ドラゴンズ】。