「巻き込まれた男」クーデター 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
巻き込まれた男
アルフレッド・ヒッチコック監督の『知りすぎていた男』は、仕事で訪れたヨーロッパで妻子の危険と陰謀に巻き込まれる男の話だったが、こちらは、
赴任先の東南アジア某国でクーデターに巻き込まれ、妻子を守りながら(時に助け合いながら)隣国へ脱出を試みる男の話。
話は至ってシンプル。
襲い掛かる暴徒、サバイバル、逃走劇。
外国人だけが命を狙われる。主人公も関わるある政治的な理由が原因だが、小難しい事は一切ナシ。
それ故、強引でツッコミ所もある。
明確に国名は提示されていないが、アジア人を鬼畜のように描き過ぎ。
主人公家族は平凡な庶民なのに、その都度その都度苦難を乗り越える。火事場の馬鹿力か、ご都合主義か。
ビルの屋上に逃げたのも束の間、暴徒が迫り、下した決断は、距離がある隣のビルへジャンプ! まず妻を強制的に飛ばせ、嫌がる娘二人を投げて妻がキャッチし、最後は自分も。無事助かったものの、この時ばかりは妻子は暴徒と同じくらい夫/父を憎んだであろう。
まあ、挙げたらキリ無いが、スリリングな逃走サスペンス・アクションとしてそれなりにハラハラドキドキ楽しめる。
オーウェン・ウィルソンが家族を守る夫/父親役でシリアスな熱演しているが、出番は僅かだが、主人公家族を助けるピアース・ブロスナンが美味しい役所。
最初は主人公を罠にハメる何か裏がある人物かと思いきや、この国の現状に内通し、素性はあるが隠し、相棒と共に、まるで某スパイのように颯爽と現れる。
頼りになるぅ~!
最後は隣国に庇護され助かるのだが、その国というのが、ベトナム。
かつてドロ沼の戦争を起こしたアメリカとベトナム。
アメリカ人がベトナムに助けを求め、ベトナムがそれを助ける。
時の流れを感じる…。