「田舎の閉塞感をスタンダードサイズで」ディアーディアー ローチさんの映画レビュー(感想・評価)
田舎の閉塞感をスタンダードサイズで
スタンダードサイズの映画なのだが、スタンダードの画角の狭さが非常に作品内容とマッチしている。田舎の閉塞感が描かれた作品だが、画角からして閉塞的だ。
幻の両毛シカを見つけた三兄妹が、大人になってもどうにもならない鬱屈観を抱えて故郷で再会する。シカを確かに見たのだが、結局それは証明されず、以降3人はギクシャクし続けていた。バラバラの人生を歩んだ3人は、父の危篤をきっかけに再び集まるが、田舎の狭い人間関係の窮屈さと昔の恥が重なり衝突ばかり。大人になっても大人になりきれない3人はぶつかり合い、ちょっと和解する。
次男役の斉藤陽一郎がすごく良い。もうベテランのはずなのに、いまだに若手っぽい芝居ができるのが凄い。良い意味で若手っぽいのだ。長男役の桐生コウジは製作も兼ねているが、枯れた味わいがよく似合ういぶし銀な俳優だ。妹役の中村ゆりもとても良い。
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