「どん詰まり人生、まずは過去と向き合うことが大事なのかな」ディアーディアー スペランカーさんの映画レビュー(感想・評価)
どん詰まり人生、まずは過去と向き合うことが大事なのかな
めちゃくちゃ面白いと言うようなタイプの映画では無かったですが、地味ぃ~に面白かったです。
上手くいかないことがあれば、必ず何かのせいにしたくなる典型的なダメな大人の物語、でも、どこかしら自分にもある要素だったりしたので、みっともないけど何か分かるな~と思えてきたりで、まあ愛おしいとまでは言えなかったですが、見ていて妙に愛着が湧いてきちゃう三兄妹の物語でしたね。
栃木?の田舎町が舞台だったこともあってか、田舎あるあるな部分も田舎出身な自分には結構ツボな要素でした。
まあいまいち掴みどころのない映画ではありましたけど、その掴みどころの無さやどこに向かうのか分からない的な部分も含めて、地味に楽しませてもらいましたよ。
しかし兄弟(兄妹)って、何で同じ親から生まれたのに、こうも違う性格に育つものなんでしょうかね。
私も兄と真逆の性格なんで、仲が悪い訳ではないのですが、何かと衝突することもあったりしたので、劇中のそれぞれの想いが爆発するシーンなんかは全く他人事には思えず、見ていて変な汗をかいてしまいましたよ・・・。
子供の頃からの蓄積された不満が、きっとどこかに溜まっていたりするんでしょうね、その辺の表し方がとにかく秀逸な映画だったなと思いました。
また何かのせいにして生きてきたダメ人間な三兄妹だっただけに、その鬱屈度も半端じゃなくて、見ていてホント痛々しかったぁ~、でも単純に笑うことは出来なかったです、明日は我が身かもしれないって感じで・・・。
まあ難点としては、それぞれの抱えた問題と言うか、これまでの生き様の描き方が、もう一声欲しかった印象かなと。
それと鹿で人生を狂わされた3人でしたが、その関連性も次男以外あまり感じれずだったので、カギを握る鹿の一幕も、もう一つグッと来なかったりで・・・。
まあ鹿に人生狂わされなくても、この三兄妹はきっと他のことでうまくいかなかったのは明白でしたが、そんな彼らにもほんのりと希望の見える展開に持っていく辺りは、物語の根底に優しさが溢れていて、私的には地味に好きな話でしたね。
また三兄妹を演じた桐生コウジ、斉藤陽一郎、中村ゆりの演技もお見事の一言でした、特に軽い精神病を患っている次男を演じた斉藤陽一郎の演技には何かとイラっとさせられたなぁ。
一方、中村ゆりの美しさには思わずハッとさせられました、衣装のせいもあるのでしょうが妙にエロかった、この容姿でも人生うまくいかないのですから、世の中ってホント難しい・・・。
それから染谷将太&菊地凛子夫妻が友情出演で参加していましたね、菊池凛子の方はチョイ役でしたが、染谷将太は意外と出番が多く、しかもその役どころがなかなかの・・・ある意味その辺りもお楽しみ要素な作品だったでしょうかね。