「アメリカの栄光と闇」グローリー 明日への行進 映画イノッチさんの映画レビュー(感想・評価)
アメリカの栄光と闇
西アフリカ(ガンビア)で生まれた黒人少年クンタ・キンテを始祖とする、親子三代に渡る黒人奴隷の物語を描いたTVドラマ『ルーツ』(Roots)を、思春期の頃に見て、これ以上ないというくらいの衝撃を受けた
記憶力に自信のない自分が、主人公の名前まではっきりと覚えているのだから・・・
怖いけれど見たい、見なくてはいけない!という使命感にも似たものが沸々と湧き上がり、深夜の放送だったにも関わらず毎回見続けたあの頃
アメリカへの憧れは、その時を境に、なんて極悪非道な国民なのだろうという怒りに変わった
数十年経ち、アカデミー賞授賞式で披露された『グローリー』のパフォーマンス
これを偶然見て、英語の意味は分からなかったのに涙が止まらなかった
魂が震えた!とでも言うのだろうか
そしてまた十年経ち、やっとこの映画を観ることが出来た
その間に、人生の師からは、
マーチン・ルーサーキング牧師の存在を、
バスコット運動とローザパーク女史の史実を、
そして、キング牧師の「非暴力の行進」に力と勇気を与えたマハトマ・ガンジーによる「塩の行進」を、教わった
塩の行進が1930年、それから約35年後に、遠く離れた米国で「モンゴメリーへの行進」として「非暴力」の波がバトンタッチされ、ついに勝利を得たのだ
1619年に初めてアフリカ人が奴隷として米国に連れてこられてから実に350年❢なんという残酷な歴史でしょう
しかもガンジーもキング牧師も含め、(偉大な人は殺される)という人類の負の歴史は、悲しみの宿業は、いまだ転換されていない
たとえ制度や法律は整備されても、
21世紀の今でさえKKK(白人至上主義)は存在し、黒人差別もアジア人差別も絶えることはない
その心の深奥には「選民意識」「優越思想」が脈々と流れ渦巻いている
悲しいことにその矛先は、とどまるどころか逆に世界的な広がりを見せ、お枠を無理矢理打たせるという暴挙へ辿り着いた
82億! 人類は多くなりすぎたという、自己中で幼稚な大義名分のもとに、いとも簡単に実行されたのだ
お枠を推進しなかったアフリカの6人もの大統領達が次々に死を遂げたとか
お枠の裁判が始まったとはいえ、謎はとどまることを知らない
お枠だけでなく、KKKの排除にも乗り出したトランプ
そしてモンゴメリーの行進に駆けつけた多くの心ある白人達
ここに米国のグローリーを感じる
希望を見いだす
今、私達が受け継ぐべきものは「I Have a Dream」の言葉なのかも知れない
そして非暴力という名の勇気なのかも知れない
いえ、「絶対に諦めない」という強い意思であらねばならない