「キレキレ紳士と不愉快すぎる悪役。」キングスマン 三遊亭大ピンチさんの映画レビュー(感想・評価)
キレキレ紳士と不愉快すぎる悪役。
「キングスマン」見ました。公開前なのに評判がかなり高かったのでビックリです。キックアスを微塵も面白いと思わなかった僕ですが、今作は普通でした。良かった所も多いけど、それ以上にマイナスが多い印象です。「スパイ映画の常識をぶっ飛ばす」というコピーは、常識を超えるという意味ではなかったようだ。
いろんなスパイ映画の要素が盛り込まれた絶妙で痛快な娯楽作だと思いました。コメディ要素も含まれていたのでしょうが、劇場で少しも笑いが聞こえなかったので、これは日本人にはわからない笑いだったのでしょう。まぁとにかくコリンファースは全くイメージにない作品にチャレンジをしていて、それだけで満点。サミュエルLジャクソンのBボーイ風な出で立ちは少々不愉快だったけど、その他の脇役達はかなり立っていました。
私は今作を見て「メンインブラック」「007」「X-MEN ファーストジェネレーション」などを連想しました。今作はスパイ映画のようだが、スパイ要素はかなり少ないです。宣伝なんかではポップなコメディ風だけど、笑えるセリフとか動きとかはほとんどなかったのはビックリしました。クールな英国紳士が淡々と敵を去なす姿をシュールに描いてるつもりだと思うけど、全然面白さがわからなかった。なので、ふざけたサミュエルLジャクソンの悪趣味さだけが無駄にきわだってるます。ホントにこいつは笑えないしショボいしで、全く怖さがないです。
あとこれもマイナスポイントとして、スパイ映画には欠かせないビックリアイテム達が微妙でした。傘のアイデアは中々良かったけど、良かったのはそれだけで、後はジッポライター型の手榴弾とかですからね。よく分かんないけどハイテクなメガネも面白いけど、大して役に立ってないってのが気になります。クールなキングスマン達の最大の武器は、格闘体技と拳銃。スパイ映画として体技で勝負するのはいいけど、ジェームズボンドやイーサンハントなどとお友達のこちらとしては、全く物足りない。しかもその体技もなんとなくカメラがブンブン畝るわ動くわで、これホントにコリンファースがやってんのかよ?という疑問が生まれた。もっとしっかり見せて欲しかったです。
作りとしても、序盤でコリンファースがバーのクソガキどもを簡単に捻る場面。ここは抜群にアガるし、最後にもう一度やるのもいいよ。だけど、完コピってのはやりすぎですよ。せめて扉の鍵を閉めてセリフを言って終わり、とかの方がいいと思います。マシューボーンの悪い癖が出ましたね。X-MENのラストもそうでしたね、ダラダラエンディングといか詰め込みエンディングというか。。
総じて、コリンファースは満点です。映画自体は良さと悪さが相殺された印象です。キックアスがダメならキツイかもしれません。