ロスト・リバーのレビュー・感想・評価
全12件を表示
思い出の虜囚
この映画はデトロイトを初めて訪れたときの、ライアン・ゴズリング自身の衝撃がベースになっているらしい。
凋落したとは言えアメリカ第4の大都市だったこともあり、エミネムのような時代を代表するアーティストを排出した街でもある。
栄華を極めた伝説の街。外国人だからこそ受ける衝撃、というのもやはりあるんじゃなかろうか。
実際、「ロスト・リバー」のさびれっぷりはヤバい。廃村レベルの過疎だ。
住人はどんどんいなくなり、街は街の体裁を保てないほど荒れて、それなのに主人公一家は街から出られない。
聞いた話だが、思い出というのは場所に紐付いているのだそうだ。立ち寄ればふと思い出す、他愛ない会話やちょっとしたアクシデント、あの時の気持ち。
なるほど「ロスト・リバー」のビリーは祖母から受け継いできた家に執着するがゆえに、街からも出られず苦しい生活に陥っているように見える。
冒頭に出てきた街を去る老人も「ここには思い出が沢山ある」と言い残した。
ラットの祖母なんかは思いっきり思い出にどっぷり浸っている。
もう1つ挙げるなら、「水に沈む」というのは不安や無力感を感じさせる。中身の見えない心細さ、生存できない空間への恐怖、もう元に戻らない諦め。
貯水池に沈んでいる街は、思い出を捕らえて離さない。この街の「呪い」とラットは言うが、確かに一見合理性のない執着は「呪い」と言っても差し支えないように思う。
リアルの印象をファンタジー溢れる「呪い」に落とし込み、何故だか目が離せない不思議な魅力があった。
だだ、もうちょっとこう、「キレ」みたいなものが欲しかったよね。映像とかとても幻想的で綺麗で、心地良いんだけど、むしろちょっと不快感があるくらいの方がストーリーを進める推進力になったんじゃないかなぁ。
結構好みな映画なんだけど、いまいち物足りないのはそのせいかも。
美しい絵を撮りたいなら、まずはシアーシャを美しく
R・ゴズリングの趣向を感じる監督作
悪くは無いのが悪の半端者。
ムニャムニャセリフで、いつも眠そうなのに人を惹きつけるゴズ様の初監督の一本。
が、ニコラス師匠の影響受けすぎだってばよ!苦笑
作品として悪い訳ではないが、演出は師匠の模倣。
物語は「MUD」の異口同音、カタル仕切れない劣化版。
かといって悪いことは無い、観られるアート映画なんだけれど。
アート映画にしてはぬるい。
頑張れゴズ様!の作品。
偉大さは一日にして得られず
視覚と聴覚の印象のズレが“作家性”を感じさせる作品。
ライアン・ゴズリング初監督作品。
設定、展開、色彩、音楽。
各要素の新鮮味は然程無いですが。
組み合わせた結果は非常に個性的。
意図的に配置/結合され“作家性”が色濃く出ている。
何の希望も無い話が。
陽気な音楽の中語られる。
起きている事象は悲惨、凄惨だが。
画面に現れる小道具は何処か間が抜けている。
その違和感に妙な可笑しみが。
と同時に組合せの妙に趣味の良さも感じる。
ライアン・ゴズリングの作家性を堪能出来る作品となっていました。
視覚と聴覚の印象のズレが“作家性”を感じさせる本作。
終盤の展開は突飛かつ間抜けで思わず笑いが零れたのですが。
声を出して笑っているのは少数派。
決して万人受けする作品とは言い難く。
ライアン・ゴズリング×ニコラス・ウィンディング・レフンの作品にグッとくる方であれば楽しめると思います。
オススメです。
好みが分かれる特異な世界観。瀕死の街で生きる家族の物語。
【賛否両論チェック】
賛:死にかけた町で、家族と生きるためにもがき続ける主人公達の姿が切ない。
否:思いのほか単調で静かに進むので、好みに合わないと眠くなること必至。グロシーンも少しあり。
“ダム建設”という特異な事情から、死にかけてしまった町を舞台に、生きるために戦い続ける主人公・ボーンズや、家族を守るために必死で働こうとする母・ビリーの姿が、とても切なく描かれます。そして、そんな彼らに迫り来る残酷な現実もまた、胸を締めつけるものがあります。
ただ、かなり独特な雰囲気の静かな世界観なので、好みは極端に分かれそうです。
舌を切ったり動物を切り刻んだりなど、グロテスクなシーンも結構あるので、その辺は気をつけてご覧下さい。
全12件を表示