悪党に粛清をのレビュー・感想・評価
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【北欧の至宝、マッツミケルセンとエヴァ・グリーンの”007 カジノロワイヤル”コンビの壮絶なる復讐西部劇。哀愁漂う雰囲気もバッチリです!】
ー 今作は、ナント、マッツミケルセン出身のデンマークとイギリス、南アフリカ制作の西部劇である。どんな経緯で、この三国が西部劇を製作したのかは分からないが、可なりハイレベルな作品に仕上がっている。-
■1864年にアメリカに、新天地を求めてデンマークからやって来たジョン(マッツ・ミケルセン)は、1871年に久しぶりに再会したデンマークからやって来た妻マリーと息子を駅馬車に同乗した荒くれ者のポールと連れの男に無慈悲に殺されてしまう。
復讐に燃えるジョンはその駅馬車から投げ落とされるが、追いかけて二人を射殺する。だが、その犯人ポールが町を支配する悪党デラルー大佐(ジェフリー・ディーン・モーガン)の弟だったことから、ジョンと兄のピーター(ミカエル・パーシュブラント)と悪党達との壮絶な復讐劇が幕を開ける。
◆感想<Caution!内容に余り触れていません!!>
・ご存じの通り、マッツミケルセンとエヴァ・グリーンは”007 カジノロワイヤル”で共演しているが、今作はその後の制作、公開である。
だが、”007 カジノロワイヤル”で血の涙を流す悪役、ル・シッフルを演じ一躍国際的大スターになったマッツ・ミケルセンの魅力は変わらない。というか、更にイケオジ振りが際立って、とても格好良いのである。
・エヴァ・グリーンも、その妖艶さに磨きが掛かっていて、先住民族に舌を切れら口が利けないポールの妻”姫”を、台詞が無いのに、あの独特の吸い込まれそうな眼で、物凄い存在感を醸し出し演じ切っている。
本来であれば、悪役デラルー大佐側の筈の彼女が取った行動などが、物語に深みを出しているのである。
・更に、悪役デラルー大佐を演じたジェフリー・ディーン・モーガンも、その面構えなど大変い良く、所謂悪役のキャラが立っていてこそ、勧善懲悪モノは映えるというお手本の様な悪役振りで、大変位に良い。
・チョイ役であるが、小物に見せてチャッカリ私腹を肥やしているキーン町長を演じたジョナサン・プライスなども、良い味を出しているのである。
<今作は、分かり易いデンマークとイギリス、南アフリカ制作の勧善懲悪西部劇でありながら、雰囲気バッチリの、面白い作品である。
全てが終わった後に、哀しみを背負ったジョンとポールの妻だった”姫”は、何処に行くのだろうか・・。>
声を奪われた女、家族を奪われた男
エアーズロックかと思ったけど、オール南アフリカロケだった・・・(恥)
まずは開始から10数分で復讐を果たしたジョンことマッツ・ミケルセン。この時点では感情移入する暇もなく、新たに復讐の連鎖が始まりを告げていたのだ。しかし、この暗さは何だ?マカロニウエスタンも本場の西部劇からすると暗いジャンルになるのに、さらに上を行く暗さ。デンマークウェスタンというより南アフリカウエスタンと言っていいのかもしれませんが、可能にしたのは高感度なデジタルカメラのおかげなんだろう。
途中からは西部の町。悪党のデラルーが用心棒として仕切っていて、誰も歯向かうことができないでいた。神父兼保安官も言いなりだし、葬儀屋兼町長も言いなりどころか、油田を中心にした土地をせっせと買い叩いてデラルーに貢ぐアリサマ。みんな終わってんな・・・といった、ウェスタン・ノワールのごとく退廃した映像でガンガン攻めてくるのです。
ヨーロッパの中でもドイツ国境に接し、何度も領土が変遷した中で、1864年に第2次シュレースヴィヒ戦争が起こり、プロイセンとオーストリアに屈したというデンマークの歴史。この荒廃した土地から逃げるように新世界にやってきたのに、ここでも小さなコミュニティには王とでも言うべき悪党が独裁者のごとく仕切っていて、誰も歯向かえない。ジョンにとっては兄貴も殺されたため、復讐のターゲットとなったのだが、ドイツとの戦争も経験してるだけに緻密な計算で単独で戦うことになった。雑貨屋の息子もばあちゃんを犠牲に差し出された恨みで、彼に加担するのだが・・・
ちょっとでも権力を握ると利権を得られる小悪党。保安官も町長もクズだった。だけど、これだけ人が殺されるんじゃ葬儀屋が儲かりそうだなぁ・・・
保安官お前最低だな。
デンマーク産西部劇で上映時間が100分も満たない作品。
それなのに、マッツミケルセンやエバグリーンと007カジノロワイアル繋がりが出ていると知って鑑賞。
家族を殺された主人公のある復讐の物語。在り来たりと思いきや、少しややこしい内容が追加されています。
油田を巡り悪党と対峙するマッツはカッコイイんだが、ラストが勿体無い!
アクションが短い!悪党も弱い!ボスも見どころ無くヤラレちゃう!
そして最後にノコノコとやってきた保安官。
私的にコイツへのコメントは「お前何様よ。最低だな。」でした。
まぁ、セットにお金かかってません。派手さもありません。しかし、見どころは人物設定ですね。
そこに来たかエバさん!無口エバさん怖いっす!
テレビで放映される時には是非ご鑑賞ください。
尺も良く、のんびり観れると思います。
エバ・グリーンの眼力に圧倒された!
何だか、マカロニ・ウエスタンみたいな内容だった。主人公が我慢に我慢を重ねるところや、リンチのシーンがあるところなど・・・ マッツ・ミケルセンが出ていることは知っていたが、エバ・グリーンが出ていることは知らなかった。奇しくも「007/カジノ・ロワイヤル」に共演していた二人だ。からみはなかったと思うが・・・ エバは以前からあのグリーン・アイがすてきだなと思っていたが、今回の役は舌を切られてしゃべられないので、最初の方は何を考えているのかよくわからなかった。だが、次第にその行動に現れていった。哀しみ、怒り、怯え、あきらめ、そういった感情が見てとれた。あのグリーン・アイが物語っていた。マッツももちろんかっこよかったが、私はエバが最高に光って見えた。さすがダニエルボンドの想い人だけのことはある。
マカロニ・ウエスタン真っ青 『スモーガス・ウエスタン』
『スモーガス・ウエスタン』 理屈抜き、カンヌがどうたら、どうたら賞がとうたら関係なしで意外とイケる。
なんじゃそれ、『スモーガス・ウエスタン』?
公開から一年以上たって今更解説はないだろうから、以下ほとんどTRIVIA。
御用とお急ぎでない方はスルーがよろし。
北欧製のウエスタンをどう呼ぶのか知らないがIMDBのレビューを見たら、デンマークを象徴する食べ物 SMORREBROD(オープンサンドウイッチ)にちなんで「スモーブロー・ウエスタン」とある。
これは日本でもなじみのスエーデン料理スモーガス・ボード(いわゆるバイキング料理)の延長線上にあって、日本から見ればスモーガスもスモーブローも似たようなもの。
イタリー発ウエスタンが日本ではマカロニ・ウエスタン(西欧ではスパゲッティー・ウエスタン)として定着したように、いずれOOO・ウエスタンとなるだろうけれど、とりあえずここは「スモーガス・ウエスタン」と、勝手に命名。
さて、オリジナル・タイトル”SALVATION”とは、「ある対象にとって、好ましくない状態を改善して(脱して)、望ましい状態へと変える(達する)こと」とWIKIにある通りを実行した男の物語。
「神父兼保安官」など奇想天外な設定が笑わせる。
IMDBによると、本作のロケ地は南アフリカで、製作資金も南ア、イギリス、デンマーク、ノルウェイ、EUからのかき集め。
おもしろいのが、ウエスタンお約束のインディアンが全く登場しないこと。先住民が完全に始末され消滅したあとの設定となって、話が単純明快。
トラブルの発端は ”駅馬車で同乗した見知らぬ他人との「乗り合せ」”がまずかった・・・
そして、展開は ”ヴァイキングに荒らされた古代ブリテンの因縁が19世紀末のアメリカ西部で、移民になったヴァイキングの末裔がこれも移民のブリテンの末裔との間で「目には目を、歯には歯を」の復讐劇として蘇った”ような話なのだ。
いかにも北欧ヌーベルバーグらしい容赦なきバイオレンスの連鎖に圧倒され続けのあっという間の1.5時間。続編が待たれる。
クレディットを見る限り、
Mads Mikkelsen と Eva Green 以外は監督も含めてすべてがOOOOWHO???。
しかし、映画は中身で勝負、例のタランティーノ絶賛の世紀の巨匠監督(笑)デイヴィッド・ミショッドの「奪還者」の腹立たしいほどの大コケもある。だからどうでもよい。
久しぶりに映画らしい映画に行き当たったと言いたい
ミケルセンはは今や注目の成長株で期待を裏切らない迫真のそれぢて抑えた熱演、本人曰く「どんな作品でも一作一作すべてに全身全霊で打ち込むのが身上」だけあってB級ウエスタンの範疇と言われ当然の本作でも手抜きはしない。
エバ・グリーンも本作のための申し子のような悪女を演じて、男性の征服欲を掻き立て男を狂わせるその妖艶かつ浮世離れした歪んだ美貌が「シン・シティー」そのもの。
真っ当すぎるほど真っ当なミケルセンと極め付けの悪女グリーンの結末は見てのお楽しみ。このあとどうなるんだろね・・・と妙な余韻が残るエンディングはB級ならではのサービス精神旺盛。(笑)
あえて言わせてもらえば個人的に物足りない点があって、とうぜん諸悪の根源、巨魁デラルーは最後にミケルソンの復讐の銃弾をしこたま撃ち込まれて一巻の終わりとなるのだが、その前にやけくそになったデラルーの手で例の「神父兼保安官」(実はもっとも卑劣)を地獄に送り込むべきだったと思うが、皆さんどうだろう。
ファンのために更なるTRIVIA。
まず Mads Mikkelsen、日本表記ではマッツ・ミケルセンだが、デンマークでは通じないようだ。
FORVOで検索したら、なんと”マス・ミケスン”(イントネーションはスンの語尾が上がる、「マス・ミケスン?」と尋ねるような感じ)が正しいようだ。
ja.forvo.com/word/mads_mikkelsen/
ついでの私見だが、エンディングの外景パンがまるで絵コンテをキャプチャーしたような稚拙なCG(シーンの必然性さえ無い)で、画竜点睛を欠く結果になったことが惜しまれる。
スケール西部劇ではないのだからハリウッドを意識した壮大なエンディングにする必要はなかっただろう。
観終わって気づいた、これはフランク・ミラーのコミック「シン・シティー」の世界だと。
地味に渋く淡々と
久しぶりの西部劇
北欧産西部劇。
公開時に観逃したものの(涙)案外早く観れたという嬉しい西部劇。
しかしデンマーク産というのが観るまでは不安材料に感じられる。
なるほど北欧からの移民という設定で名優ミケルセンを登場させ、
妻子を殺された元兵士がならず者に復讐していくという分かり易い
スタイルなのだが、実際はデンマーク人がアメリカ風のウエスタン
を南アフリカで撮っているという傍目にも非常にシュールな光景の
現場だったらしい(ミケルセン談)。が、しかし!仕上がりを観れば
面目躍如とばかりによくできている。嘗ての西部劇いいとこどり♪
の作品なのである。寡黙な主人公、淡々と復讐を果たす男達に加え、
人生を毒されたヒロインと、悪党に牛耳られた町の荒廃から彼らを
救う!なんてもう黒澤明から流れくる王道ノワールを感じられる。
E・グリーンは台詞なしでの名演、さらにはE・カントナまで出てる。
荒野の世界
渋く骨太だが少々薄味な作品。
マッツ・ミケルセンが終始渋い。
冒頭申し訳程度に笑みを浮かべていたが…以降は苦渋の表情。
大袈裟に声を荒げる訳でもなく淡々と事を進めていく。
銃の名手という設定も活かして正確無比な殺人機械を体現。
そのマシン感、チラと見せる人間感に痺れました。
周りを固める人物達も渋い。特に眼が良い。
埃舞う荒地に生きる人物達。
“狩るモノ”と“狩られるモノ”。
弱者が容赦無く蹂躙される社会で虐げられる弱者が強者に牙を剥く。
弱者は弱者の諦観漂う眼をして、強者は野性味溢れる眼をしている。
眼が表す人間の強さが話に納得感を与えていました。
惜しむらくは終盤の決戦。
溜めに溜められた鬱屈した気持ちが爆発する…すべき場面にも拘らず。
かなり地味。規模が小さい。
マッツ・ミケルセン一人が相対する仇の数を現実的なラインに設定したのかもしれませんが。
如何せん盛り上がりに欠ける。
現実感を犠牲にしても今回の倍の数はこなして欲しかった。
その点は非常に残念でした。
渋く骨太だが少々薄味な本作。
マッツ・ミケルセンの渋さにノレる方は十分楽しめる作品だと思います。
オススメです。
映像美あふれるクールな西部劇
これはいい。映画ファンなら観るべき映像美に冒頭から打ちのめされる。一眼レフのカメラで言うと、ヴィヴィッドのモードでアンバーを控えめにして撮ったようなクールな映像。美味しいギムレットを飲んだように酔える。ミケルセンの魅力も凄まじいが、脇役もそれぞれに存在感を発揮している。なんと言ってもセリフなしでこれだけの存在感を示すエヴァ・グリーンに脱帽。DVDでコレクションしておきたいような、映画ファンにとっての踏み絵のような佳作だ。
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