不屈の男 アンブロークンのレビュー・感想・評価
全33件中、21~33件目を表示
殴り続けられたシーンも「作り話」です。
この映画で非常に印象的な虐待シーンとして、ルイスが他の捕虜に拳で殴られ続けられたシーンがあります。実は、この場面もルイスの「作り話」なのです。英国人捕虜のトム・ウェイド氏の自伝を読むと、事実が明らかになります。本当は、ルイスは「処罰されたメンバーに含まれていない」のです。また、処罰は「拳で殴る」ものではなく「ビンタ」だったのです。考えてみれば、それもそのはずで、拳で2時間の間、200発殴り続けられれば、どんな人でも死んでしまいます。この映画の主人公ルイス・ザンペリーニという人は、このように、他人の体験を「自分の体験として嘘をつく癖」と、「ものすごく話を盛ってしまう癖」のある人物なのです。この映画は「事実に基づいて」いるのではなく、「ルイス・ザンペリーニの作り話に基づいて」いる物語なのです。
肝心な処がかけていた
漂流シ-ンが長すぎだろう。もっと戦後、日本を許せるまでの葛藤するスト-リ-が見たかった。戦メリを意識しすぎたのかな。割と娯楽色が強く、真実より脚色しているなと感じた。収容所のトラウマから、立ち直りオリンピックへの夢を復活させるまでの、道のりを到達させる主人公の苦悩な人生が見たかった。社会派感覚で描いてほしかったです。
リアリティーに欠ける映画
重厚、でもユーモアが足りない
僕はアンジェリーナ・ジョリーを信じている。
彼女の戦争に対する視点は納得できるものだ。
戦争は人間性を歪んだものする。
あの日本人将校の渡辺にしても、大本営の命令に準じた行為だと
思っていたのだと思う。ちょっと極端に走りすぎてはいたが。
戦争というものは、善・悪を超える。
やるか、やらないのか。
従うか、従わないのか。
自分で考えるという自由が奪われ、二者択一になってしまうのだ。
そういう意味でアンジーが描いたものは真実に近いことだ思う。
そこにはコーエン兄弟の脚本も影響していただろう。
なによりもルイス・ザンペリーニの体験談を忠実に描いていたのだろうと思う。
だた、映画というものはすべてが真実というわけではない。
そこには監督の思いや演出が現れる。
そこで思う。
こんなにも次から次へ苦難を描くことが映画としてどうだったか?
漂流していた時も、捕虜として虐待されていた時も、少し長過ぎるのではないか。それぞれを3分の2くらいにしたらもっと締ったのではないか。それに、もうちょっとユーモアがほしいと思ってしまった。
アンジーはルイ本人にあって尊敬の念を持ったという。
だから忠実に描きたかったのだと思う。
でも、その思いが映画として饒舌になってしまった。
それでも監督2作目のアンジェリーナ・ジョリー。
これからもその鋭い視点で映画をつくってほしいと切に思う。
ワンシーン、ワンシーンの映像はとてもよかったのだから。
で、結局何?
大事な部分がカットされている映画
日本公開時は退屈な前半100分はカットすべき。MIYAVIさんが出て来てからが面白くなる。
いや、勝手に赦されましても。
幼少期のルイスは、かなりやんちゃな子でした。
しかし彼を真っ直ぐな道に向かわせたのは、キリスト教による信仰心と、優しい兄の導きでした。
教会のシーンで「汝の敵を愛せ」と赦しの教えがあり、兄みたいにはなれない「I'm nothing」だと嘆く弟に、「成せばなる。諦めるな」と導く兄。
兄の教えが苦境にあった時のルイスを支え、そして信仰が、戦後ルイスを立ち直らせることとなります。
この幼少期から太平洋漂流から日本の捕虜になるまで、100分。なかなかな尺で漂流シーンを見せてくれるのですが、水飲みたい、腹減った、カモメ捕まえて食べる嘔吐、魚捕まえるうまうま、サメを素手で確保、くらいしかイベントがないので、100分の説明省きます。すみません。
捕虜になったルイス(ジャック・オコンネル)は、大森の捕虜収容所に送られます。ここでルイスは、ある看守と出会います。ニックネームはバード。ワタナベ軍曹(Miyavi)です。
本作では日本軍の残虐非道ぶりというよりは、この"バード一人"のサディスティックさ、異常さとして描かれています。
バード登場シーン、影の中のバックショットを観れば、みんなこう叫ぶでしょう。
「坂本龍一じゃん!」と。
そう、戦メリの坂本龍一さんに似ています。しかしバードはもっと美しく妖しく暴力的で、その異常さは虐待の仕方にも表れています。
初日からルイスに目をつけたバードは、こう言います。
「自分を見ろ」
ルイスが視線を合わせると、顔面を棒で殴打。
「自分を見ろ」見ると殴打。見ろ!見ると殴打。そして最後に「俺を見るな!」と殴打です。もう、何がなんだか分かりません。
「オリンピック選手だれー?」
ルイスが手を挙げると、日本兵と競争させます。でも飲まず喰わずでふらふらのルイスは、転倒して負けてしまう。
「You're nothing!」とボッコボコ。肉体への暴力だけではなく、精神面までダメージを与えるやり方。
夜間、いきなりルイスのところに現れるバード。ベルトで耳が千切れるほど殴ります。でも、一旦ちり紙を差し出して「傷をふけ」と。ルイスが傷を拭いた後に、またベルトで殴打です!
優しさを見せて、希望、期待をさせて、それを打ち砕くやり方。人間を無気力化するやり口が、ある意味凄いです。
ルイスはオリンピック選手ということもあり、ラジオ局に呼ばれて日本側のプロバカンダに協力するように言われます。しかしルイスは嘘は言えないと楽な生活を拒否して、大森収容所に戻って来ます。
バードは言います。
「お前は自分(バード)に似ている。俺たちは強い。最初にお前を見た時から分かっていた。自分達は友達になれるだろう……。しかし、お前は日本の敵だ」
そう言って、捕虜一人一発ずつルイスの顔を殴るように命令します。
しかしバードとルイスの別れは突然です。お楽しみ会?を行っている最中、捕虜に混じってルイスの隣に腰掛けるバード。妖しげな笑みでこう言います。
「悪いニュースだ。友にさよならを言わなくちゃいけない。自分は明日、大森を去る」
友、勿論ルイスのことですよ。
しかし大森収容所は爆撃に遭い、直江津収容所へ。そこに行くと、またいるんです!彼が、バードが!
重労働でふらふらしてるルイスは、バードに角材を持ち上げるように言われます。部下に、下ろした撃ち殺せと命令して。
ルイスは耐えます。お兄さんに諦めるなって言われたから。「nothingじゃない!」と。アンブロークン!
この時のMiyaviさんの表情が秀逸です。ルイスの精神力の強さを単純に驚き、圧倒され、興奮し、尊敬の表情さえ浮かべます。しかし最後には、恐怖に変わって「俺を見るな!」
と、ルイスを殴打するんです。
部下達を下がらせ、倒れたルイスの横で跪くバード。
なんで殴ったか?きっと敵であるルイスの強さに、同じ男として魅せられ、惹かれ、尊敬した。しかし、相手は敵です。バードは湧き上がった感情に戸惑い、恐れ、その感情を打ち消す為に、ルイスを殴打したんです。
「シンドラーのリスト」でレイフ・ファイアンズ演じる将校が、召使いであるユダヤ人女性を「俺を誘惑するな!」と、湧き上がる欲望を否定する為に殴るシーンがありますが、心理状態としては同じだと思われます。
かくして終戦を向かえます。
ルイスはアメリカに無事に帰国しますが、その後のことはテロップで説明されます。
ルイスは冒頭のシーンにあった信仰心を取り戻し、復讐ではなく赦しが必要だと気が付くんです。「敵を愛せ」と。
そしてバードに会いたいと申し入れますが、拒否されます(実際のワタナベ軍曹の写真が出ます。戦後、戦犯になるのを恐れ、逃げ回っていたと説明あり)。
最後は八十歳になったルイスが、長野オリンピックの聖火ランナーをしているシーンで終了です。
つまり、アンジーが言いたかったことはこうでしょう。
「戦争中は双方に残虐行為があるでしょう。けれどそれを赦さなければ、真の平和は訪れないんですよ。復讐ではなく、赦し」
分かります。その通りだと思います。
本作は反日映画ではありません。
戦争で互いに色んなものを失ったけれど、お互いに赦し合いましょうよ!という映画です。なんともおおらかで、お気楽な、鈍感な映画なんですよ。
しかし、もっと意地悪く解釈するならこうです。
「私達(アメリカ人)も貴方達がしたことを赦すから、貴方達(日本人)も私達のしたことを赦しなさい」
敗戦国、勝戦国の、対等ではない関係性の中での「赦し」って、どの立場から言い出すといいんだろうか。
アンジーの言いたいことはよく分かるけれど、正直「勝手に赦されましても」と思ってしまった。
日本を愛してやまない方達の反発により、本作は日本では(現在のところ)公開未定のようです。けれど日本軍の残虐性ばかりクローズアップされてる!反日!という指摘は、的外れのように思う。
そんなことより、アンジーがいう「先に赦すよ」感を突っ込まなくていいの?
あと、本作が俳優デビューのMiyaviさんの演技は、一見の価値あり(ブラックレインの松田優作に次ぐ衝撃を受けました)。堂々の悪役っぷり!
てか、彼の演技で本作の200分越えを何とか観られたんです。
ミュージシャンとしてもかなりユニークな方のようなので、今後注目して行きたい!
※ネット上で噂のカニバリズム行為は、映画では出てきません。残虐行為と思われるシーンは、ほぼ書いたつもりです。
大切なのは生き抜くこと、憎むよりも許すこと
試写会で観た。
高校生の頃に陸上のオリンピック選手だった青年ルイが、第二次大戦の空軍兵となり、壮絶な人生を歩む。
実話の映画化。
途中、日本軍の捕虜となるシーンでは、辛い場面が続き、観ているのもしんどい部分があったけど、それを乗り越える不屈の精神に感動。
主人公、ルイの空軍仲間であり、友人のフィルを「アバウトタイム」のドーナル・グリーソンが演じてる。
最近、観る映画、全部、この人出てんじゃないの??と思うぐらい、よく観るわー(笑)
そして、共同脚本には、コーエン兄弟の名前が。
笑うシーンなんて、ほとんど無かったから意外だった〜。
まぁ、結局なところ、人間は、辛いことを経験すればする程、心が広くなるんだなぁ。
しみじみと、そう思う映画だった。
アンジーの映画は「虐待描写」が多すぎる
救命ボートのサイズが違うのはなぜ?
全33件中、21~33件目を表示